常にイノベーションを続けるのがCitrixの誇り----シトリックスラボ担当者に聞く

山下竜大

2012-05-23 16:12

 米Citrix Systemsは、「Citrix XenApp 6.5」上で稼働するWindowsアプリケーションのユーザーインタフェースを、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに対応した“タッチフレンドリー”なインターフェースに変換する「Citrix XenApp 6.5 Mobility Pack(Mobility Pack)」を提供している。

 また大手企業やシステムインテグレーター、ISVなどに向け、GPSやカメラ、通信機能などの50種類以上のAPIを使用して、モバイル対応のWindowsアプリケーションを短期間で開発できる開発キット「Citrix Mobile Application SDK for Windows(Mobile Application SDK)」を無償提供する。

 このMobility PackとMobile Application SDKについて、米Citrix Systemsのシトリックスラボ プリンシパル・テクノロジー・ストラテジストであるBruce Franson氏、およびシトリックスラボ 研究開発担当シニアマネジャーのAnil Roychoudhry氏に話を聞いた。

--Mobility PackとMobile Application SDKが開発された背景を聞かせてもらえますか。

Bruce:変化の激しい現在のIT業界において、常に将来を予測し、正しい方向性を見いだすことは容易なことではありません。ときには間違った選択をすることもあります。そこで、常に市場で何が起きているのか、顧客やパートナーが何を求めているのか、業界のトレンドや顧客の興味を早い段階で把握しておくことが必要です。

 そして、このトレンドが続いていくものなのか、早期に終わってしまうものなのかを予測して、次の大きな波に乗り遅れないようにすることが重要です。しかし企業は、ビジョンを持っているにも関わらず、それを見失ってしまうというジレンマもあります。こうしたジレンマを解消するのがシトリックスラボの存在意義でもあります。

 Mobility PackとMobile Application SDKは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス市場の拡大というトレンドと、それらのデバイスをビジネスで活用したいという顧客やパートナーの要望から誕生したものです。

--Mobility PackおよびMobile Application SDKには、顧客やパートナーのどのようなフィードバックが適用されているのでしょう。

Anil:企業の経営層の多くから「新しいモバイルデバイスを仕事で利用したいと思っているが、そのための仕組みを開発できないか」という要望がありました。このITコンシューマライゼーションという潮流は、2007年のiPhone、2010年のiPadの登場により、一気に加速しています。

 一方、情報漏えいや不正アクセスなど、セキュリティ上の観点から、個人のデバイスで企業データにアクセスすることに対し、システム部門は非常に敏感になっています。特に医療機関や金融・証券、政府、官公庁など、規制の厳しい業界では、そうした懸念がより一層大きくなっています。

 これまでCitrixが提供してきたエンド・ツー・エンドのソリューションは、機密性の高い企業データに対して、いつでも、どこからでも、安全にアクセスしたり、データを一元管理したりするためのものではあったのですが、利用するデバイスの中心はPCであり、モバイルデバイスは限定した利用に限られていました。

 しかし、日ごろから使い慣れている個人所有のスマートフォンやタブレットなどのデバイスを、プライベートだけでなく日常業務でも使いたいと考えるのはごく普通のことです。そこで、ITコンシューマライゼーションというトレンドに基づいて、エンドユーザーが安心、安全、簡単に企業データにアクセスできる仕組みが必要でした。

 そのために必要な機能が、Mobility PackやMobile Application SDKには搭載されています。

--そうした考えが、個人所有のデバイスを持ち込んで(Bring Your Own Device:BYOD)、いつでも、どこからでも、簡単かつ安全に企業データにアクセスし、ワークシフトを実現するというCitrixの戦略につながっているのですね。

Bruce:そのとおりです。このトレンドは世界中で起きています。もちろん日本でも起きていると聞いています。日本のパートナー企業であるアイネットやシー・エス・イーがMobility PackやMobile Application SDKを使ってモバイルアプリケーションを開発しているのもその一環と言えます。

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