システムの災害復旧(ディザスタリカバリ、DR)は、すべての企業にとって優先順位の高い問題だ。実際、法的規制によって、ソフトウェアのコンプライアンスや安全対策が施されたDRプログラムが必要とされる業界も多い。ほとんどのITプロフェッショナルが、DRの計画に関する重要な問題について、暗号化キーを安全に保管する方法から、ソフトウェアのカスタマイズ状況のバックアップ、仮想化技術の効果(そして制約)に至るまでよく通じているのは、これが理由だ。しかし、DRの文脈で企業にソフトウェアライセンスについて尋ねたとすれば、多くのITプロフェッショナルは「もちろん、自分たちが持っているソフトウェアライセンスを復旧させるために、アクティベーションキーのバックアップは取っているよ」と答えるだろう。
それも大事だが、そのことは表面的な問題にすぎない。多くの組織、そして多くのサードパーティーのホスティングサイトさえもが見逃しているのは、新規または既存のDRシステムに関連するソフトウェアのコンプライアンス問題だ。コンプライアンスへの対応ができていなければ、組織には多額の罰金や罰則が科される可能性があるだけでなく、DRシステムが部分的に、あるいは完全に動かない可能性さえある。DRのソフトウェアがホストベースのものであれ、ハードウェアベースのものであれ、すべての側面からコンプライアンスを確保するのが喫緊の課題だ。
DR用ソフトウェアのコンプライアンス問題は多くの場合複雑なため、ここではDR計画を信頼できるものにするために重要な5つの側面について説明しよう。
1.バックアップと復旧のコンプライアンス
バックアップと復旧のプロセスで使われるすべてのソフトウェアが、完全なライセンスを備えていることを確認すること。これは当然のことのように思われるが、そう単純な問題ではない。ソフトウェアは復旧システムサーバ内で使われないままの状態になっているかもしれないため、コンプライアンスが守られていることを確認するためには、実際に使われるライセンス確認手段という観点だけでなく、それが正しいソフトウェアであるかどうかを確認することまで含めて、ライセンスのニーズがコンプライアンスに違反していないか調べる必要がある。例えば、テープとその他のポイントインタイムリカバリ技術が使われている場合には、バックアップとリカバリでは異なるライセンスが必要になるかもしれない。使われる場所は1カ所でも、ストレージサーバにはテープドライブやフラッシュドライブ用のエージェントが追加で必要かもしれない。ライセンスが不適切だと、緊急時にDRソリューションが正常に機能しなくなる可能性がある。
2.アプリケーションソフトウェアのコンプライアンス
ほとんどの企業向けクラスのシステムやその他のアプリケーションは、DR用のソフトウェアのコピーは追加料金なしで使えるようになっているのが普通だ。しかし、ソフトウェアがインストールされているサーバごとにライセンスが必要なものもある。ポイントは、DRに関しては、アプリケーションによって異なるルールが適用されるということだ。