自動車部品大手のカルソニックカンセイはコミュニケーション基盤を「Lotus Notes/Domino」から「Office 365」に移行、約6000ユーザーが「Exchange Online」と「SharePoint Online」への展開を完了させている。日本マイクロソフトが8月24日に発表した。
カルソニックカンセイは現在、世界に50を越える生産拠点を展開、1万5000人以上の従業員が働いている。Lotus Notes/Dominoを10年以上利用していたが、限界に来ていたという。長年使い続けてきたために、ハードウェア自体が不安定になっていた。
そこでハードウェアをアップグレードすると、Notesのバージョンアップも必要になり、ライセンス料が発生する。ハードウェアの陳腐化の速度が速まっている中で3~5年ごとの投資が必要になる。キャパシティ設計も3~5年後を想定して、大きめのものを導入しなければならない。そうした投資を今後も続けることも負担になると考えていた。
運用という点でも課題があった。サーバが日本と北米、欧州に設置されており、3つのNotesがそれぞれのサーバで稼働し、疎結合された状態で運用されていた。情報のやり取りや共有は全世界で行えたが、ユーザーIDは個別に管理されていた。そのため、国や地域を越えた組織変更、人事異動の際には、旧IDを削除して新IDを作成してアクセス権を新たに設定しなければならなかった。
こうした課題から、2009年に次のコミュニケーション基盤の検討を進め、1年後の2010年にマイクロソフト製品にシフトする方針を明確化。2010年末にクラウドを採用する方針を決め、2011年4月にOffice 365の採用を決定している。今年2月に国内ユーザーにOffice 365の展開を開始し、2週間の移行期間を経て、3月に国内約6000ユーザーへの展開を完了させている。
メールとスケジュール管理はNotesからExchange Onlineに移行し、クライアントは「Microsoft Outlook 2010」を使用している。カルソニックカンセイの国内拠点は、2011年初にPCを更改しており、Windows 7とOffice 2010が標準構成となっている。
Notes上で構築された各種アプリケーションの移行も進んでいるという。アンケート調査のアプリケーションはExchange Onlineの標準機能で対応。チームルールはSharePoint Onlineのチームサイトに移行している。文書管理や受付管理のシステムは、SharePoint Online上で開発、そのほかのアプリケーションはASP.NETで開発している。
移行作業に入る前に、Notesアプリケーションを棚卸しており、移行が必要と判断されたのは全体の約1割という。棚卸したことで、システム全体がすっきりとし、業務プロセスの見直しも進みつつある。1年以内にはアプリケーション移行が完了し、Notesサーバを停止すると説明している。
今後は海外にも展開していく。今年第1四半期にはマレーシアへの展開を完了している。第2四半期には中国と米国、第3四半期に欧州を予定している。最終的なユーザー数は1万人以上の規模になる。