Adobe Systemsは9月24日に開催したテクニカルイベント「Create the Web」でウェブデザイナーやウェブアプリケーション開発者を支援する新しいツール群「Adobe Edge Tools & Services」を発表した。これは、ウェブサイトのデザインやウェブアプリケーションの開発に役立つさまざまなツールやサービスを「Adobe Edge」というブランドのもとで提供するというものである。
OSSの活用も目立つEdge Tools & Services
Edge Tools & Servicesで提供される個々のツールは、それぞれが特定のタスクに的を絞ったシンプルなものとして開発されている。それがこのツール群の大きな特徴だが、もうひとつの興味深い点は、いくつかのツールがオープンソースソフトウェア(OSS)として開発されているということだ。
これについて同社のDanny Winokur氏は、「一番の目的はユーザーが本当に必要とするツールを作り上げること。それには、コードへのコントリビューションという形でのフィードバックが受けられるオープンソースがよくマッチしている」と語っている。
基本的なアプローチとしては、ツールの核となる部分はオープンソースとしてユーザー自らも開発に参加できるようにする。その上で、Adobeにとって強みとなるような機能については、付加価値として独自のカスタマイズを加え、Adobeの正式なプロダクトとしてリリースするという。
現在のEdge Tools & Servicesには、OSS由来のツールやサービスとしてHTML、CSS、JavaScriptのコーディングに特化したコードエディタ「Edge Code」、モバイルアプリ開発フレームワーク「PhoneGap」によるウェブアプリケーションの構築環境をオンラインで提供するウェブサービス「PhoneGap Build」、ウェブフォントサービス「Edge Web Fonts」がある。ここでは、この3つのツールとサービスを例にして、オープンソースのプロダクトとEdge Tools & Servicesとの関係を見てみよう。
Adam Lehman氏
BracketsとEdge Code
Edge CodeはOSSの「Brackets」がベース。Bracketsはウェブデザインとウェブ開発にフォーカスを当てたコードエディタである。HTMLやCSS、JavaScriptといったにウェブ標準技術のコーディングを対象としており、GitHub上でMITライセンスに基づいて開発が進められている。Create the Webの会場では、AdobeでBracketsとEdge Codeの開発を担当するシニアプロダクトマネージャーのAdam Lehman氏によるセッションで、このツールの紹介やデモが行われた。
特徴的な機能としては、HTMLの編集中にJavaScriptの関数やCSSのプロパティをインライン編集できる“クイックエディット”や、ブラウザと連動して編集結果をリアルタイムに確認できる“ライブ・プレビュー”、JSLintによる構文チェックなどが挙げられる。Bracketsの使い方については、こちらの記事も参照していただきたい。
Brackets自身がHTML、CSS、JavaScriptによって開発されているため、Bracketsを使うユーザーにとって自前での拡張がやりやすいという点も大きな特徴である。Lehman氏によれば、Bracketsの核となる部分は以下にあげるライブラリやフレームワークを利用して作られているという。
- Twitter BootStrap
- LESS
- jQuery
- Require.js
- Mustache.js
- CodeMirror
いずれもウェブアプリケーションの開発者にとっては馴染みのあるものだろう。もちろん、拡張機能の開発には、これ以外にも好きなライブラリやフレームワークを利用できる。