バックアップおよびリカバリの専業ベンダーとして世界90カ国で法人約17万5000社、個人約250万ユーザーに製品を提供するアクロニス。国内では2002年からビジネスを展開し、約8万5000ライセンスの販売実績を持っている。
各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回は、2008年から日本法人であるアクロニス・ジャパンを指揮する村上督代表取締役に、バックアップ・リカバリ市場の動向、同社の取り組み、今後の目標などを聞いた。
震災を経て意識が大きく変わった
アクロニス・ジャパン代表取締役の村上督氏
--個人向けが強いという印象がありますが、実際には法人向けが多いのでしょうか
ライセンス数は圧倒的に個人のほうが多いのですが、売上で見ると2対8のバランスで法人が多いという状況です。
法人向けのビジネスは、サーバ1台ごとに1ライセンスを購入いただくタイプと、プロジェクトごとにツールとしてシステムに組み込んで利用いただくタイプに分かれていて、割合はおよそ7対3。もともと個人向けからスタートして、SMB、中堅、大企業へと広がっていったという経緯があります。
--バックアップに関する世界的な調査「アクロニス世界障害復旧評価指標」を毎年発表していますが、ポイントを教えて下さい
まず動向についてですが、国内ではバックアップやディザスタリカバリに対する意識の高まりが挙げられます。「重役が組織のバックアップと障害復旧の運用を支持している」との回答は前年から10ポイント増えて67%に、「バックアップと障害復旧の包括的な運用を実現できるテクノロジーが十分にある」との回答も同じく10ポイント増えて65%になりました。
アンケート実施期間は、震災から半年後の2011年9月〜10月。東日本大震災での変化について聞いたところ、「定期的なバックアップテストの頻度を増やした」「事業継続プランを導入した」「スタッフのトレーニングをより多く実施した」などの回答が得られました。
このように、震災後を経て、バックアップに対する意識や取り組みは大きく変わったことがはっきり数字に現れました。その一方で、バックアップやリカバリの課題も明らかになっています。