クラウド形式で勤怠や経費清算システムを提供するチームスピリットと、ソーシャルを意識したスケジュール管理ツールを提供する日本技芸が10月16日、機能を連携させた新サービスを提供すると発表した。両社のアプリケーションを、セールスフォース・ドットコムが提供する「Force.com」上に一元化し、クラウド型のグループウェアとして、中堅規模の企業を中心に提供する。
セールスフォースは従来のビジネスの中心だったSFA(営業支援管理)のアプリケーションを提供するだけでなく、アプリケーションの基盤として「Force.com」を提供し、この基盤上にさまざまな独立系のソフトウェアベンダーがアプリケーションを開発するというモデルを世界的に推進している。
日本法人の宇陀栄次社長は「日本法人がリードした動きだ」と話している。そのため、重要な機能を提供するソフトウェア企業などに出資するなど、財務的な活動も活発化させている。出資する企業には、今回のチームスピリットと日本技芸のほか、シナジーマーケティング、ネットイヤー、1stホールディングス、ユビレジ、シャノン、トヨタメディアサービス、ウフルの合計9社に上る。
左からセールスフォースのコーポレートディベロップメント担当シニアディレクター、倉林陽氏、日本技芸の御手洗大祐社長、チームスピリットの荻島浩司社長、同取締役の増山秀信氏
Force.comではAPIを使用したプログラミングによるアプリケーション開発ができるため、異なるシステムを1つに統合する、いわゆる「マッシュアップ」の手法によるアプリケーション開発がしやすい。今回の2社によるアプリケーションもこの手法を活用している。
今回、チームスピリットの勤怠や経費清算管理サービス「チームスピリット」に、日本技芸の「rakumoソーシャルスケジューラー」をForce.comプラットフォーム上に統合する。これにより、グループウェアとしての機能がそろうという。例えば、rakumoに登録した行動予定にチームスピリットのジョブコードをひも付けたり、チームスピリットからrakumoの行動予定を取り込んで工数管理に使うといった連携ができるようになる。
両社は「いつもの行動予定を管理職にとって有益な精度の高い日報、工数管理ツールとして利用できるようになる」と説明している。
さらに、Force.com上に載っていることにより基本機能を共有できているため、今後、会計や生産管理などグループウェア以外のアプリケーションと連携する際も、別々にシステムを導入するよりもずっと楽に構築できる点も大きなメリットだとしている。
実際に、セールスフォースの「Sales Cloud」と組み合わせ、商談や取引先、行動予定、実績をひも付け、商談段階から受注、プロジェクトのデリバリを一気に実施するといった使いかたも想定している。「Chatter」と連携し、企業内SNSの利用を促すといったこともできるとしている。
人事や経理などの戦略にあまり関わらない業務向けシステムでは、こうしたWebサービスの仕組みを用いた手軽で早いアプリケーションの開発が求められており、これまで多かったシステム開発の手法を変える可能性を持っているといえる。
費用は通常、チームスピリットが導入初期費用が27万3000円で月額1アカウント630円。rakumoソーシャルスケジューラーは初期導入費用が無料で、月額1アカウント945円。機能連携に当たり、両者を同時に申し込んだ場合、初年度の利用料を特別に1アカウント月額1260円に値引きする。チームスピリットの導入初期費用も半額にするという。