米Salesforce.comは9月18日から3日間、米サンフランシスコで年次ユーザーカンファレンス「Dreamforce 2012」を開催している。
今回ひときわ注目されているのが、ソーシャルの仕組みを活用したマーケティングの領域だ。
同社はソーシャルマーケティングを実施するための新サービス「Marketing Cloud」を発表。自動車のように「売ったらおしまい」だったマーケティングが、ソーシャルメディアの活用で顧客と永続的にかかわりを持つようになることを前提とし、ソーシャルマーケティングによる革新を強調した。
同社のソーシャルマーケティングへの取り組みについて、マーケティングおよびデータクラウド担当上級副社長のBrett Queener氏は次のように話した。
顧客との永続的な関係構築がカギ
これまでのマーケティング手法は、広告、電子メール、ダイレクトメールなどいずれの方法も一方的なものになりがちだった。イベントの来場者リストを整理するといった方法もあまり上手な方法とはいえなかった。あなたはAppleの製品が好きですか? 世界中の多くの人がApple製品を支持している理由は(胸を指しながら)ここに訴求したからです。
スティーブ・ジョブス氏が賢かったのは、論理よりも感情を優先して製品を開発したことにあります。
マーケティングおよびデータクラウド担当のBrett Queener上級副社長
もともと、ブランドというのは人の感情の中に芽生えるものなので、一方的な方法などでコントロールするのが難しい。
一方で、特に消費者向けのビジネスを手掛ける事業者は、新製品の市場投入までの時間を短くする必要があるため、理想としては、忠誠心を持つファンとのコネクションを常に保っておくのが望ましいわけです。
そこで、今後ますます重要性を増すのが、CMO(最高マーケティング責任者)の役割です。
CMOは今後、一方通行ではなく双方向で顧客と向き合う必要に迫られます。カンファレンスでFordの取り組みについて紹介する予定ですが、自動車業界も従来は顧客との接点が少ない業種です。購入時とメンテナンス時、その後は買い替え時くらいしか対話がありません。
しかし、ソーシャルを使えばまったく異なります。FordのMustangに乗るユーザーをFacebook上に集め、300万人(実際は9月20日現在で442万人)が日々Mustangの情報を共有しているような状況です。
これからのマーケティングは、顧客にインスピレーションを与え、顧客が友達に商品を紹介するような関係を一生涯にわたって続けていくような取り組みが必要です。それができるのがソーシャルなのです。今後、CMOの方がCIO(最高情報責任者)よりも多くの予算を持つようになっていくでしょう。ただし、ここで挙げた「CMOの役割」を実現するのは容易ではありません。CMOにとってはしばらくはつらい状況かもしれませんね。
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