あなたが業務部門へと異動し、そこでキャリアを充実させていきたいと考えているのであれば、IT部門に別れを告げる前に以下の質問を自問しておくことを忘れてはいけない。
もしもあなたが、ITを本業としていない会社に勤めているのであれば、IT部門は業務の支援部門であるということを理解しているはずだ。こういった会社でIT分野のキャリアを積むのは、あなたが最高経営責任者(CEO)になるという大志を抱いていない限り何の問題もない。しかし、会社はほとんど常にと言っていいほど、営業経験や、一連の業務経験を有した人材を探し求めている。これこそが、会社のCEOになろうという志を持っている多くのIT技術者がIT部門を去り、業務を遂行していくうえで重要になると見なされている実務分野に進もうとする理由である。
しかし、慌ててはいけない。IT部門を去ると決める前に、自問しておくべき10の質問がある。
#1:業務部門の人間でいることが好きになれるだろうか?
IT部門から業務部門に異動すると、あなたの作業負荷にも変化が訪れることになる。エンジニアリング部門に異動する場合は、IT部門と業務部門の間にそれほど大きな違いは存在しない。しかし、新たな現場が重機械製造業の製造ラインであったり、小売業における販売部門やマーケティング部門、銀行におけるカードサービス部門である場合、その違いは大きなものとなる。このため可能であれば、大きな一歩を踏み出す前に、「業務が対象とする領域」に対してできるだけ理解を深めておくべきだろう。その領域に詳しい人と話をし、該当領域に関して学べることをすべて学んでおいてほしい。最も大事なのは、業務部門とあなた自身について考えることである。あなたは、その領域で仕事をしている自らの姿を想像できるだろうか?そして、それはハッピーなことだと思えるだろうか?
#2:IT関連の仕事から離れられるだろうか?
IT部門から異動してきた従業員には最初の仕事として、その部門のテクノロジ関連の仕事が任されることも多い。それ自体は、(新たな業務部門の従業員としての)あなたの価値や信頼性を新たな部門において高めていけるという点で良いことと言えるだろう。しかし、あなたが(1)業務部門内のIT作業に「はまってしまい」、本来の目的であった業務の学習が行えなくなってしまう、あるいは(2)心のどこかでITのことを忘れられないために、業務部門内のITプロジェクトに自然に引き寄せられていくというのであれば、有害な結果しかもたらされないはずだ。こういった罠にはまってしまうと、あなたは業務分野におけるキャリアを追求するという目的を果たせなくなるのである。