IT分野の人たちは、タスク指向で動く傾向がある。そのため、実際のビジネス戦略や、そこにITがどう関わっているかが見えにくくなっている。しかし、最高情報責任者(CIO)や中心的なITマネージャーにとっては、日々の技術的な仕事に事業目標の考え方取り込むことは必要不可欠だ。なぜなら、ビジネスを動かしているものを理解すれば、それだけITを効果的なものにすることができるからだ。では、もともとこういったことに抵抗のあるITスタッフに、どう対応すべきだろうか。
これは、簡単なことではない。多くのITスタッフは、彼らが注意を集中する必要のある、重要な技術分野に注意を取られているからだ。彼らがそのものの見方から脱却して、全体的なものの見方をするようになるのは、特にいつも時間に追いまくられている場合は難しいだろう。ITスタッフの多くは、ミーティングは片付けなくてはならない「本当の」仕事の邪魔になると考えている。この考え方は、最前線の現場にいる人間にとっては「人生の真実」だ。しかし、だからといって、彼らにビジネスのことを知ってもらい、彼らの仕事が会社にどのような価値を提供しているかを理解し、説明できるようになることが無理だというわけではない。
では、CIOやITマネージャーは、どうすればこの問題を緩和できるだろうか。
1.スタッフミーティングでビジネスについて話す
ITスタッフミーティングには出席が義務づけられているため、出席者は逃げることができない。これは、CIOや中心的なマネージャーが、事業部門のニーズや、それをITプロジェクトがどう支えているかについて話すチャンスだ。しかし、CIOやマネージャーはエンターテイナーとしての技術をできる限り発揮する必要がある。聴衆が興味を失ったら終わりだ。ビジネスに関する話は簡潔明瞭なものにし、長々とした回りくどいプレゼンテーションは避けるべきだ。
2.IT分野の人間をビジネスの現場に連れ出す
このやり方は、ビジネスアナリストやアプリケーション開発者などにはうまくいくが、例えばシステムプログラマーやデータベース管理者などの、もっと技術寄りのスタッフにはあまり有効ではない。この目的は、ユーザーと接点のあるITスタッフに、そのビジネスの分野(と困難な点)を直接体験させ、彼らがアプリケーションを設計している業務やワークフローを、さらに深く理解してもらうことだ。その過程では、ITスタッフがエンドユーザーと知り合いになるチャンスもある。これは、チームワークや現在進んでいる協力関係にもプラスの影響を与えるだろう。
3.SLAを定義し、事業目標を給料や業績評価に組み込む
会社の中でのIT部門の基本的な役割の1つは、システムを動かし続けることだ。従って、システムのアップタイムや性能に対するサービス品質保証がなされるべきだし、問題対応の早さや、問題解決までにかかる時間についても同様だ。これらの目標は、現在の自動化されたインフラソフトウェアで計測可能であり、これを各スタッフの個人的な目標や給与査定にも直接的に組み込むことは可能だ。事業に直接関わるプロジェクト(例えば新しい製造システムなど)も、業績や給与の査定に組み込むことができる。これらは、ビジネスの影響をIT部門の人間の報酬システムに組み込む方法だと言える。