写真とコーヒーで人と人をつなぐ--キヤノンとスターバックスのプロジェクト「道のカフェ」を追う(後編)

大河原克行 2012年11月21日 17時47分

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「道のカフェ」の企画・運営には被災者も参加する(©安田菜津紀)
「道のカフェ」の企画・運営には被災者も参加する(©安田菜津紀)

 キヤノン、スターバックス、松下政経塾の復興支援プロジェクト「道のカフェ」を、これまで2回に渡って取り上げてきた(前編中編)。

 キヤノンとスターバックスは、写真とコーヒーで人と人をつなぎ、地域コミュニティを再生させようとしている。そして今、東北の被災地の写真がスターバックスの店舗に届き始めたようだ。

 今回は、コーヒーを楽しむ空間そのものを提供するスターバックスと、デジタルフォト文化の先駆者であるキヤノンによる共同プロジェクトならではの成果「フォトアルバム」を紹介したい。(ZDNet Japan編集部)

「道のカフェ」がはじめた新しい取り組み

 今年に入ってからの「道のカフェ」プロジェクトは、8月11日に石巻市雄勝町で開催される「おがつ花火まつり」に合わせて、旧雄勝総合支所前の敷地内でカフェを開催。500人以上が道のカフェを訪れた。

スターバックスの酒井恵美子氏
スターバックスの酒井恵美子氏

 「雄勝町は震災で250人が犠牲となり、その後、4300人だった人口が3分の1以下に減少している。雄勝に住みたいが仕事がないから戻れないという声を聞く一方で、こういうイベントを開催してもらったことで戻るきっかけができると、喜びの声をあげてくれる参加者もいた。道のカフェが小さなお役に立てたことを感じている」(スターバックス コーヒー ジャパン マーケティング・カテゴリー本部の酒井恵美子氏)というエピソードも聞かれた。

 このときの道のカフェで、プロジェクトチームは新しい取り組みを始めた。

 それはコーヒーの有料提供だった。

スターバックスの万波宏司氏
スターバックスの万波宏司氏

 「これまでは無料でコーヒーを提供していたが、被災者の生活や意識も変化し、それにあわせて道のカフェの役割も変わってきたと考えている。開催前に地域の人たちとの話し合いで、実際にお金を消費して物を得るという、通常の生活に戻ったことへの喜びを感じるという声もあった。8月に開催した道のカフェでは、スターバックス ラテやフラペチーノなどを、通常価格の約3分の2の価格としたものの、有料で提供した」(スターバックス コーヒー ジャパン マーケティング・カテゴリー本部 チームマネージャーの万波宏司氏)という。

 そこで得た収益は、その場所への出展料として地域に還元したという。

手づくりのフォトアルバム

 道のカフェは、その場の開催だけで終わるのではなく、終了後も継続的に活動している。

 そのひとつがフォトアルバムの公開だ。

 カメラマンによって撮影された写真はその場で参加者に手渡されるが、それとは別にスターバックスのスタッフが手作りのフォトアルバムを制作しているのだ。ボランティアで参加したスターバックスのスタッフが撮影した写真もふんだんに使われている。

 それぞれ一点もののフォトアルバムで、スターバックス社員が手書きでコメントを書き込むなど、手作り感満載のもの。だが、それがかえってアルバムに温かさを感じさせている。

 10月1日からはスターバックスの一部店舗に、今年8月に石巻市雄勝町で開催した道のカフェの様子をまとめたフォトアルバムが設置されており、来店客はこれを閲覧することができる。

 フォトアルバムの取り組みとしては第2弾となる。道のカフェに参加したスターバックスのスタッフ12人が、各店舗で2冊ずつ制作。1冊を店舗に常設し、もう1冊を全国を巡回して設置する形にした。

 東北では宮城県の仙台エスパル店、ホテルリッチフィールド仙台店に常設。関東地区では、都内の新丸ビル店、渋谷2丁目店、新宿エルタワー店のほか、千葉県のイオン幕張店、神奈川県の川崎 ラ チッタデッラ店、東海地区では愛知県の中部国際空港セントレア店、関西地区では大阪府の淀屋橋odona店、イオンモール大日店、中国地区では広島県の広島駅アッセ店、九州では福岡県の福岡赤坂門店に、それぞれフォトアルバムを常設している。

 道のカフェは今後も継続的に開催していく予定だという。

 このプロジェクトは「カフェを通じたコミュニティ再生支援」と「カフェ開催を通じて入手する被災地情報の発信」が基本姿勢で、それは今後も変わらない。

 写真とコーヒーによって人と人をつなぐという役割は、これからも道のカフェの重要な役割になっていくだろう。

 しかし、その内容は被災地の復興とともに、少しずつ変化することになりそうだ。それは被災地の変化を示すものだともいえる。

 今後も継続的に開催される「道のカフェ」プロジェクトを通じて、被災地の復興の状況を知ることもできそうだ。

(©渋谷敦志)
(©渋谷敦志)

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