達成するためにPDCAを回す--中小向け人材育成ツール「jogg」

田中好伸 (編集部)

2012-12-05 14:40

 トーマツ イノベーションは12月5日、中小企業向けに従業員を育成するための目標管理ツール「jogg」の提供を開始した。SaaS形式で提供、1社あたりの税別月額料金は1~10人が9000円、11~20人が1万8000円となっている。3人までの無料のトライアルプランが用意されている。

 joggについてトーマツ イノベーションは、「従業員が言われたことしかやらない」「言われたこともやりきれない」という中小企業の経営者や管理者の悩みを解決するものという。同社は、月額固定料金の研修サービスを提供しており、その中で経営層と話す機会が多く、経営層からは従業員について「もっと自立してほしい」「自分で目標を持って動いてほしい」「目的意識を持って走ってほしい」との悩みが寄せられているという。

 目標を管理する仕組み、目標を達成するためのPDCA(Plan Do Check Action)サイクルを管理する仕組みは、人材育成では本来有効とされており、大企業を中心に導入が進んでいるが、目標を設定すること自体が難しく、目標を立てたとしても計画倒れになったり、チェックが形骸化したりするなど、現場でPDCAサイクルを回すのが難しいと指摘されている。

 トーマツ イノベーションの前田寛之氏(新規事業立上げ室長)はjoggを「やるべきことを羅列するだけのタスク管理ツールではない」と説明。従業員が目標を達成するために「何をやるべきか」を従業員自ら考えさせ、継続させることができることが特長と説明している。

 joggは、今まで一体化したものが難しかったという「目標管理、タスク管理、素早い報告・連絡・相談(いわゆるホウレンソウ)と情報共有」を、つまり、従業員が自立してPDCAサイクルを回すために必要な機能をひとつにまとめている。前田氏はjoggの特長を「PDCAを自分で回すツール、セルフマネジメントツール」という言葉で表現している。

 従業員はjoggに具体的な目標、例えば営業での「ターゲットリストを作る」といったものを入力する。入力された目標には、いつまでにやるのか、期限も入力する。期限を入力しないと、やらないからだ。そしてその目標を達成するためには、何をやらなければいけないのか、具体的な行動も入力する。

 joggに入力された情報は、メンバーや上司に一覧される。上司は部下の状況を見て助言なりサポートなりをすることができ、部下の行動を促すことができる。メンバーの仕事や目標の達成状況は、メンバーと上司の両方のタイムラインにリアルタイムで表示される。この機能は上司への報告やほかのメンバーの情報共有という役割も果たしている。報告の漏れや遅れがなくなるだけでなく、業務の効率化にもつながるという。

「やはり見られているという緊張感は重要。同僚や後輩からも見られることで、自分と比較することで“あ、やんなきゃいけない”という感覚を覚える」(前田氏)

 joggに入力された目標や行動は、週1回自動的にチェックされる。メンバーは自らの行動を振り返るとともに、次の行動を考える習慣が身に付くようになるという。PDCAのサイクルを継続させる仕組みとしては、実行した仕事をほかのメンバーから認められる“グッドジョブ”機能や“スタンプ”機能が搭載されている。Facebookで言う「いいね!」だ。この仕組みがあることで、共有感や一体感を得られるという(組織の中で仕事をしているとはいえ、時折感じられる孤独感も解消できるはずだ)。

 joggでは、個人を管理するとともに、チーム全体を管理できるようになっている。複数の人間からなるチームで目標や仕事のタスクを共有して業務に取り組むことができる。拠点が離れている場合やプロジェクト単位で仕事をしている場合に有効だと説明している。

 前田氏はjoggのコンセプトとして「未来を管理する」ツールという言葉を使っている。これまでのツールは「実績を管理する」ものであり、つまりは「過去を管理している」だけに過ぎないと説明。joggは、達成しようとしている目標を管理し、そのための具体的な行動を管理する。いわば、未来につながる現在を見るのがjoggだ。joggは上司やほかのメンバーから「見られている」ことが前提となっている。見られているという緊張感(あるいは安心感?)からjoggは「人を感じられるツール」(前田氏)としている。

画面1 joggのメイン画面
※クリックすると拡大画像が見られます
画面2 joggでの個人ページ
※クリックすると拡大画像が見られます

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]