タブレットPC、“高機能”や“既存PC代替”などニーズに応じた訴求が重要

田中好伸 (編集部)

2013-01-21 17:01

 ノークリサーチは1月21日、年商500億円未満の中堅中小企業を対象に調査した報告書「スマートデバイスが今後のPC導入に与える影響」を発表した。有効回答件数は754件となっている。

 スマートフォンとタブレット、いわゆるスマートデバイスの活用状況(企業で端末を購入する場合が対象、私物端末の業務利用のケースは除いている)をみると、何らかの形でスマートデバイスを購入している割合は年商5億円未満で2割弱だが、年商100億円以上では4割弱となっている。ただ、現段階ではスマートデバイスの特性を生かした利用シーンが見いだされておらず、「とりあえずタブレットを購入したが、十分に使いこなせていない」といった声も少なくないという。

 企業によるスマートデバイス活用は今後も増加すると予測しており、スマートデバイスに予算が費やされることでPC関連に充てられる予算が減ってしまうのではないかといった見解も示されているという。

 スマートデバイスの活用がPC導入に与える影響を見ると、いずれの年商帯でも「PC導入は別予算なので、スマートフォンによる影響は全くない」が「スマートフォンやタブレットに費やした分だけ、PC関連の予算は削減される」を上回っている。ただし、年商5億円未満や年商100億円以上~300億円未満では、両者の差が小さいケースもあるため、注意が必要としている。

 50億円以上~100億円未満と100億円以上~300億円未満の年商帯では、「スマートフォンやタブレットでIT活用が活性化し、PC関連投資も増える」が2割に達している。例えば、社外から業務システムにアクセスしたいといった場合、端末側に専用モジュールが必要なクライアント/サーバ(C/S)形態では、スマートデバイスで利用できないケースもある。

 そこで「ノートPCを安全に持ち出せる仕組みがほしい」という要求が発生し、デスクトップ仮想化などの新しいPC関連ソリューションが検討される可能性もあると説明している。

 スマートデバイスの活用がPC導入に与える影響をPCの刷新予定別にも集計している。PC刷新の予定がないか、または1年以内にPC刷新を予定している場合は「スマートフォンやタブレットでIT活用が活性化し、PC関連投資も増える」は11~15%程度にとどまっている。一方で、PC刷新を2年以内に予定している場合は「スマートフォンやタブレットでIT活用が活性化し、PC関連投資も増える」は約3割に達している。

 こうしたユーザー企業はWindows 7への移行をすでに終えているケースが多いという。つまり、間近に迫っているWindows XPサポート終了というハードルを越え、1~2年という少し長いスパンでPC刷新を考えているユーザー企業に対しては、スマートデバイスとPCの両方を含めた包括的な端末の活用の在り方を提案するといった取り組みを検討する価値があると提言している。

 調査では「タブレットPCの認知や活用意向」もPC刷新予定別に集計している。ここでの“タブレットPC”は折りたたんだり、キーボードオプションを取り付けたりなどでタッチパネルで入力するタブレットとしての利用と、キーボードで入力するノートPCの両方の役割を果たせるスマートデバイスとしている。「タブレットPCとは何か?」という基本事項ではおおむね理解が得られている状況にある。

 「(PC刷新について)予定はまったくない」と回答したユーザー企業は、タブレットPCの活用意向も低く、PC刷新に消極的なユーザー企業に対しては、タブレットPCの訴求も難しいことが分かると説明している。

 一方、「3カ月以内に(PC刷新を)予定している」と回答したユーザー企業のタブレットPC活用意向は、「(PC刷新の)予定はあるが時期は未定」における結果とそれほど差がなく、タブレットPC活用に積極的とはいえない状況にあると説明。直近でPC刷新に費用を割くことが決まっているため、タブレットPCに回すだけの余裕がないものと推測している。

 「6カ月以内」「1年以内」「2年以内」にPC刷新を予定している場合には、この順番で「高機能なタブレットとして新規の活用を検討している」という回答の割合が高くなっているという。

 6カ月~2年以内にPC刷新を予定しているユーザー企業に対しては、「迅速なキー入力が必要な業務シーンでも対応できる」などといった形で高機能なタブレットとして、タブレットPCを訴求するといった取り組みが有効と提言する。

 また「社内で利用するPCの代替として活用を検討している」「外出用ノートPCの代替として活用を検討している」といった回答も15~20%程度ある。「高度なタブレットとしての訴求」「既存PCに可搬性やタッチパネルなどの付加価値を与える代替としての訴求」をユーザー企業の現状やニーズを踏まえて、きめ細かく訴求していくことが重要と説明している。

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