日本企業の事業継続計画(BCP)をはじめとするセキュリティへの予算確保などの対応は年々強化されている。だが、脆弱性テストの実施状況は芳しくなく、外部機関によるセキュリティの品質や有効性評価は遅れており、グローバルとの差は開いている――。新日本有限責任監査法人が1月25日に発表した。
新日本はErnst & Youngが実施するセキュリティの課題に関する「2012 グローバル情報セキュリティサーベイ」を発表。今回の調査では、世界64カ国主要産業1836社を対象にしている。含まれる日本企業は201社。グローバルをベンチマークにした日本との差異を考察している。
ソーシャルメディアの管理状況をみると、日本企業の48%が「特になし」と回答しているが、グローバルで「特になし」は20%。実施している管理のすべての項目で、日本の回答はグローバルよりも低い数値となっている。このことから、全般的に日本のソーシャルメディアの管理は、グローバルと比較して未整備な状況にあると説明している。
年次での脆弱性テストの実施状況では、日本企業の55%が「実施していない」と回答している。グローバルで「実施していない」は19%となっている。「年間1~9回」ではグローバルが56%、日本は30%。日本は、継続的な脆弱性テストへの取り組みでグローバルと大きな差が開いていると表現している。
今後12カ月のセキュリティ予算計画の状況では、日本企業の場合36%が5~25%以上予算を増加させる計画となっている。グローバルでは51%が5~25%以上予算を増加させる計画だ。「前年とほぼ同様」という回答は、日本で62%、グローバルでは44%となっている。
セキュリティ分野での支出計画では、日本の49%の企業が「(クラウドや仮想化、モバイルなど)セキュリティの新技術」と「事業継続、緊急時復旧計画」への支出を増加させるとしている。グローバルでも「セキュリティの新技術」が55%、「事業継続、緊急時復旧計画」が47%が増加させると回答しており、ほぼ同様の傾向になっている。
セキュリティの品質や有効性の評価方法をみると、日本とグローバルはともにIT部門など社内組織による自己評価は、60%以上が実施している。だが「外部機関による評価を実施している」のはグローバルで56%、日本では21%と半分以下にとどまっている。
タブレット端末の使用状況では、日本は37%の企業が「会社所有のタブレット端末を利用している」または「個人所有のタブレット端末を利用している、個人所有機器の持ち込みポリシーに基づき、組織としてサポートしています」と回答している。
これは前回の同様の質問項目に対する回答が7.3%だったことを考えると大幅に増加していることが分かる。グローバルの回答でも前回が14.3%、今回が32%と倍増している。このことから、タブレット端末のビジネス利用については、日本はグローバルよりも急速に拡大していると分析している。
タブレット端末のビジネス利用では、日本は会社所有が33%、個人所有が4%と、圧倒的に会社所有の割合が高い。だが、グローバルでは、会社所有が19%、個人所有が13%となっており、日本とは異なる傾向となっている。
クラウドサービスの利用状況では、日本企業の56%がパブリック、プライベート、ハイブリッドのいずれかのクラウドを利用中と回答。前回の38.2%から増加している。グローバルでは前回が36.4%、今回が52%となっており、日本とグローバルで同様の傾向にあると説明している。
だが、クラウドサービスの管理の状況では、リスク低減のための管理を実施していないと回答した企業が、日本では49%、グローバルでは38%となっており、コントロールの整備が十分とは言えないと表現している。
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