「Google Glass」に見る新たな可能性--ビジネスやコンシューマーに何がもたらされるか - (page 2)

Scott Matteson (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-03-12 07:30

 他の記事でも書いたが筆者は、クールな何かがあるからと言って、それを手に入れる(すなわち購入する)べきだという結論には必ずしも至らないと考えている。このためGoogle Glassによって、スマートフォンにはできない目新しいこと、あるいはユニークなことが行えるのかという疑問の答えをまず見つけ出す必要がある。安い製品ではないだけに、納得のいく答えがなければ買い物リストに書き出されることすらないはずだ。

 コンシューマーの観点から見た場合、重要な情報にリアルタイムで素早くアクセスしたり(空港のコンコースを走りながら飛行機の運航状況をチェックするなど)、日々のイベントを記録したり、他の人たちとやり取りする(言葉の通じない他の国の人たちとの会話で翻訳機能を使うなど)といった時に、スマートフォンを取り出していては間に合わない、あるいは取り出しにくい、または面倒だという状況で重宝するはずだ。こういった点が購入動機につながると考えられる。筆者は「BlackBerry Bold」とAndroid携帯の双方を常に持ち歩いているため、このような状況があると肌で感じている。BlackBerry Boldはさまざまな制約があるものの、重要な電子メールの読み書きや、写真の撮影といった操作を片手で素早く行えるという便利さから、手放せないでいるのだ。また筆者は、タッチスクリーンというものに対していまだに居心地の悪さを感じている。タイピングの際には特にそれが強く感じられる。

ビジネスという観点から見たGoogle Glass

 しかし、ビジネスという観点から見るとどうだろうか?Google Glassがビジネスにもたらす利点を評価するには、装着者と情報のやり取りを行う企業と、装着者自身の目的の達成という双方の視点から吟味していくのがよいだろう。

 同製品の恩恵を真っ先に手にするのは、コンシューマーの嗜好や習慣といったデータを収集できるGoogleだ。この点に異論はないだろう。Google Glassによって撮影され、アップロードされた写真は、Googleの広告戦略(そして、当然ながら地図アプリや、ロケーションに基づくサービス)を強化するために利用されるとの報道もある。現在、同社はGoogle Glassのディスプレイ上に広告を表示するつもりはないと述べているものの、データの収集と利用によって、広告収入へのさまざまな道がひらかれるのは間違いない。そしてウェアラブルコンピュータという、移動中かどうかにかかわらず、ずっと使用し続けられるデバイスにより、広告に関する興味深い、そして少し不気味なコンセプトだけでなく、プライバシー上の懸念も持ち上がってくる。


 こういったプライバシー上の懸念は、Google Glassの評価と、それに対する企業の反応を予測するうえで重要な要素となる可能性がある。音声や映像を手軽に記録できるようになるという能力を持つがゆえに、カンファレンス会場や映画館、あるいはこっそり録音/録画することが禁じられている場所で「Google Glassの使用は禁止」という規則が導入されるかもしれない。スマートフォンでもビデオ録画はできるものの、撮影中はずっとスマートフォンを手で持っているか、どこかに固定しておかなければならない。このため手軽に録画するというわけにはいかないだろう。なお、Google Glassはスマートフォンと同様に、録画中には録画ランプが点灯するようになっているものの、装着者とやり取りしている人が気付かない、あるいはランプの意味が分からないというケースもあるかもしれない。

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