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50年こり固まった体質を現場から変える--関東のスーパー・カスミの小浜会長

岡田靖 怒賀新也 (編集部)

2013-04-18 20:07

 米Oracleのラリー・エリソンCEOとソフトバンクの孫正義社長が基調講演を務めた4月9日のイベント「Oracle CloudWorld Tokyo」。特別講演の壇上に立った関東のスーパーマーケット、カスミの代表取締役会長である小浜裕正氏に事業改革について聞いた。カスミを支援するループス・コミュニケーションズの代表取締役、斉藤徹氏も同席した。

 斉藤氏はこの日の特別講演で、企業が地域の顧客とソーシャルの要素を取り入れながら、従業員が自律的に働く組織を目指す「ソーシャルシフト」を提言。それを実践する企業として、カスミが紹介された。

ソーシャルシフトの経営を目指した取り組みをスタート

 カスミは1961年設立、茨城県を中心に関東各県でおよそ150の店舗を展開する中堅スーパーだ。現会長の小浜氏はダイエーで専務取締役まで務めた大ベテランで、2002年にカスミ社長となり、2010年から会長職となっている。

株式会社カスミ 代表取締役会長
小浜裕正氏
株式会社カスミ 代表取締役会長 小浜裕正氏

 近年、人口や購買力の減少、競争相手の多様化といった構造的な不況にさいなまれているスーパーマーケット業界。小浜氏は強い危機感を抱き、変革の方向性を模索していた。そんな中、2011年の暮れに斉藤氏の著書『ソーシャルシフト』を読み、ループスの協力を得て「ソーシャルシフトの経営」による永続的な企業体質を目指す改革に取り組み始めたという。

 「日本のチェーンストアというのは、時代につれてその社会的使命が変わってきています」と話す小浜氏。

 小浜氏によると、1960年代から1990年頃にかけてはカネとモノを主たる経営資源に、モノの豊かさや量的満足を使命としてきた。この頃は同質性・平等性を志向する時代であり、いわば『経済民主主義』にチェーンストアも貢献してきたという。

 続く1990~2010年頃はヒトや情報を主たる資源として、コトの豊かさ、質的満足を使命としてきた。この時期は異質性、固有性が志向され、言うなれば『生活民主主義』の貢献が求められていた時代とする。

 現在、「2010年頃からは共感性・共鳴性を志向する社会となり『環境民主主義』の実現に対する貢献が求められていると感じます」と同氏。

カスミの公式Facebookページ カスミの公式Facebookページ
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ヒト・モノ・カネ・情報に続く第5の経営資源とは

 「この時代においてチェーンストアは、ヒト・モノ・カネ・情報に続く第5の経営資源、『コーポレートブランド』を主な経営資源として取り組んでいく必要があるといえるでしょう」(小浜氏)

 改革の実際の取り組みは、新たな中期経営計画が始まる2013年3月1日からスタートした。現在の第5期中期経営計画には、斉藤氏が講演で紹介した「インサイドアウト」の考え方が盛り込まれている。

斉藤氏が講演で紹介した「インサイドアウト」の考え方 斉藤氏が講演で紹介した「インサイドアウト」の考え方
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