NECビッグローブ(BIGLOBE)はサーバとネットワークをソフトウェアで一括制御するデータセンターの仮想化を4月から運用している。サーバだけでなくネットワークも仮想化することで、約2週間かかっていたサーバとネットワークといったインフラの構築期間を約10分に短縮できるという。
サーバの仮想化は2008年頃から広がり、「数分でサーバを立てられる」「必要な時に必要な分だけ使える」などのメリットをもたらしている。だが、ネットワークは、構築や変更の度に多くの機器に複雑な設定が必要であり、運用効率が課題となっていた。セキュリティ強化や冗長化、他社のクラウドの連携など、高度なネットワーク構築には個別にシステム構築が必要になるなど、柔軟性や拡張性の点でも制限があったと指摘されている。
同社はネットワーク構築の課題を解決するSDN(Software-Defined Networking)化とデータセンターの仮想化を展開した。SDNを実現するためにOpenFlow技術をベースに、NECの独自開発技術「Programmable Flow」と共通の基盤を活用してデータセンターのネットワークを仮想化した。SDNでの運用は2012年9月から始めた。
仮想化したサーバとネットワークを連携させ、一括制御するクラウドコントローラ「momiji」を新たに独自開発。momijiは4月から運用を開始した。従来、手動だった「ネットワークリソースの確認」「機器ごとへのIPアドレスやインターフェース番号の割り当てや設定」「サーバとネットワークの接続」のすべてを自動化している。サーバの台数やネットワーク機器の種類など約10項目を入力するだけで、インフラ構築が約10分で終了できるようになっている。
仮想化したスイッチ間の接続にトンネリングプロトコル「VXLAN」を採用した。スイッチやルータなど既存の物理ネットワーク装置の設定を変更することなく複数拠点を接続できる。企業内の基幹システムや他社のデータセンター上にある既存システムとBIGLOBEのデータセンターに構築したサービスも接続できるようになった。
クラウドコントローラのmomijiは、OpenFlowコントローラやネットワークサービスコントローラ、サーバコントローラなど制御する機能別にモジュール化した。各コントローラは個別に開発されており、機能ごとにバージョンアップできる。新しい製品や規格、利用者のニーズの変化に素早く対応できるという。クラウドコントローラはオープンソースを中心に開発しているため、ベンダーの端末に縛られることなく、さまざまな機器に対応できると説明している。