IDC Japanは5月14日、国内ビジネスサービス市場予測を発表した。同市場は、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とビジネスコンサルティングで構成。2013年の国内ビジネスサービス市場は前年比4.7%増の8975億円になり、3年連続のプラス成長になる見込みとしている。
BPOサービス市場は、人事、カスタマーケア(コールセンター)、財務経理、調達購買の4分野で構成される。同市場の支出額は2013年に前年比4.4%増の6120億円になる見込み。2012~2017年の年平均成長率(CAGR)は3.9%で拡大し、2017年には7086億円になると予測している。
人事業務では、中堅企業のほかに自治体や公共団体といった新しい顧客の拡大が、カスタマーケア業務ではコールセンターにおける顧客情報の分析などの委託の拡大が見込まれているという。財務経理業務では、事例の増加とともに、これまでにBPOを利用していなかった企業の関心が高まっていること、調達購買業務では、企業の調達コスト削減の要請が背景として、4つの分野すべてで市場は成長していくとみられている。
コールセンターでの単純な問い合わせ対応、経理業務での記帳代行型のサービスなど一部の従来型BPOサービスはすでに利用率が高く、成熟化しつつあるなど、成長率は業務分野で異なると説明している。
ビジネスコンサルティング市場は、経営事業戦略の策定支援や業務オペレーションの改善支援、人事組織変更支援などを含んでいる。2013年の支出額は、前年比5.4%増の2856億円と5%を超えるプラス成長になると予測している。
国内企業のグローバル展開にかかわる支援、経営統合や事業再編に伴う支援、リスク管理の強化、政府や公共分野の顧客増加などが今後の成長を支えるという。一方で、コンサルティングファームやITサービスベンダーなど事業者間での競争激化は、サービス価格の低下をもたらしていると説明している。
BPOサービスとビジネスコンサルティングを合わせた国内ビジネスサービス市場は、リーマンショック後の成長率低下からの回復傾向が鮮明となっており、2012~2017年のCAGRは4.2%で拡大し、2016年に1兆円を超え、2017年には1兆516億円になると予測している。
IDC Japanの植村卓弥氏(ITサービスマーケットアナリスト)は現在の市況について「国内ビジネスサービス市場は全体として、景気の回復期待とともに需要が拡大している。ただし、業績の回復は企業の危機感を弱め、業務プロセス変革を進める力を鈍らせる可能性もある」と説明。そして以下のように提言している。
「事業者は先行する顧客との取り組みによるコスト削減にとどまらない、“変革の効果”をできる限り可視化して具体的に示すことで、後続の顧客企業の変革を促すことが重要になる」