日本ヒューレット・パッカード(HP)は5月30日、アプリケーションライフサイクル管理ソフトウェアの新版「HP Application Lifecycle Management(ALM) 11.5」と開発テスト環境から本番環境までの構築を連続的に自動化するソフトウェア「HP Continuous Delivery Automation(CDA) 1.2」を発売した。
システムを開発する上で行われるテストからリリースにまつわる一連の作業は、手作業やコミュニケーションロスによる無駄が多く、それが原因となってトラブルが多発する傾向にある。テスト自体の複雑化、OS、ミドルウェアの維持管理の複雑化、テストに関わる資源の無駄といった問題も起こっている。
日本HP 常務執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川いち朗氏
今回発表されたソフトウェアは、開発部門と運用部門のギャップを超えて全体最適を目指すというHPが定義する“DevOps”を構成する。日本HP 常務執行役員 HP事業統括 中川いち朗氏は「経営層に今回のソリューションを説明すると、即導入したいという声が多く、体感ではあるがニーズが高い分野と感じる」と話す。
同時に性能管理基盤ソフトウェアの新版「HP Performance Center 11.5」、品質管理ツールの新版「HP Quality Center 11.5」も発売し、DevOpsを促進していく。
開発と運用でなぜトラブルが起きるのか
今回提供するソフトウェアは、開発環境の変化、開発と運用の間で起こっている問題改善を目的に、システムのライフサイクル全般を見直すためのものとなっている。中心となるのは、テスティングプロセスの自動化と改善を実現するためのALM 11.5、アプリケーションリリースプロセスを加速する“アプリケーションリリースアクセラレーション”と説明するCDA 1.2の2製品だ。
現在、開発から運用までのプロセスでは、用途別でさまざまな環境が混在していることもあり、テストツールも多種多様、さらにテストで利用するマシン構成も複雑など、至るところに課題を抱えている。
データ消失といったトラブルを防ぐために、開発部門と運用部門が分離独立した体制となっている場合が増えていることから、両部門のコミュニケーションが不足するケースも多くなっている。本番稼働が近づくにつれて、運用側が保有するテスト環境を巡り、両者のコミュニケーションロスで無駄や環境の不整合といった問題やオペレーションミスが頻発する環境となっている。
ALM 11.5はテスト過程を自動化するために、テストセットとテスト実行に必要な定義セットとなる「テストラボ」を設定。テストツール、テスト対象の環境、実行環境、計算機資源をあらかじめ事前定義することで、ロスを排除し最高率を高める狙いがある。それをスケジュールベースで一括実行する。前倒しでテストを行っていく体制を作ることで、早い段階で問題が発覚する流れを作る。