本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、英BT(British Telecom)グループのSir Michael Rake 代表取締役会長と、日本マイクロソフトの織田浩義 執行役の発言を紹介する。
「今回の投資は、日本市場に対するBTの長期的なコミットメントを示すものだ」(英BTグループ Sir Michael Rake 代表取締役会 長)
英BTグループのSir Michael Rake 代表取締役会長
英国の通信大手BTグループの日本法人であるBTジャパンが5月31日、ショウルームの開設やデータセンターの拡充など日本での事業強化策について記者説明会を開いた。来日して会見に臨んだSir Michael Rake(サー・マイケル・レイク)氏の冒頭の発言は、日本での今回の投資に対する決意を語ったものである。
Rake氏は日本市場について、「これまで長らく経済成長がなく、高齢化も進み、さらに東日本大震災以降はエネルギー問題も重くのしかかっている」との見方を示しながらも、「世界3大経済大国の1つであり、ICT活用も進んでいることから、BTとしては着実に事業拡大を図ってきた。最近では景気回復の動きも出てきているので、BTもぜひそうした動きに貢献していきたい」と、BTとして積極的に取り組んでいく姿勢を見せた。
その具体策として今回新たな投資を行ったのが、都内にこの日開設したショールームと、4月に行ったデータセンターの拡充である。
ショールームでは、ネットワーク最適化、次世代コンタクトセンター、ユニファイドコミュニケーションやビデオ会議、IPテレフォニーなどBTの最新のソリューションを展示し、デモも確認できるようにしている。ちなみに、同様のショールームは中国やオーストラリア、シンガポールなどに設置しており、アジア太平洋地域では東京が7カ所目だという。
また、データセンターについては都内に設置していた既存の設備を、規模を拡大するとともにより堅牢でセキュリティレベルの高い施設に移し、BTが展開しているグローバルなクラウドソリューションなどとの連携を一段と強化した。
1846年に世界で最初の通信会社として設立されたBTは現在、世界170カ国以上で事業を展開しており、グループの総売上高は2013年3月期で180億1700万ポンド(約2兆8000億円)。通信網だけでなく、早くから業種ごとに特化したクラウドソリューションの展開に取り組んでおり、とりわけ金融や医療の分野では確固たる存在感を保持している。
そのBTグループを2007年9月から会長として率いているRake氏は、英国の政府や学術機関・団体の要職にも数多く就いている。さらにこの6月には英国最大級のビジネス組織である英国産業連盟(CBI)の会長に就任。今回の来日では、経団連の米倉弘昌会長とも面会して意見交換したという。