「今、製造業は大きな変革(Transformation)期にある。『製品』や『価値』という言葉の定義が従来は大きく異なり、顧客が『製品』に求めるものも変化している。そのような状況下でわれわれは、製造業が新たな環境の変化に対応し、成功を得られるよう強力にサポートしていく」
そう語るのは、PLM(製品ライフサイクル管理)を手掛ける米国PTCで上級副社長兼CTO(最高技術責任者)を務めるAndrew M. Wertkin(アンドリュー・M・ワーキン)氏である。
「モノ」から「サービス」へのパラダイムシフト
PTCで上級副社長兼CTOを務めるAndrew M. Wertkin氏
「製品」とは単なる“モノ”ではなく、製品を使用して得られるユーザー体験までも包含する。その時に重要になるのが、「製品のサービス化(Servitization)」であるというのが同氏の見解だ。
PTCは6月10日から3日間の日程で、米国アナハイムにおいて、ユーザー向け年次コンファレンス「PTC Live Global 2013」を開催。そこでは「製造業が直面する7つの外的要因」と「外的要因に対応するための変革の重要性」が指摘された。
「製造業が直面する7つの外的要因」とは、「デジタル化」「グローバル化」「法規制(Regulation)」「パーソナライゼーション」「スマートプロダクト」「常時接続性(Connectivity)」「製品のサービス化(Product as a Service/Servitization)」である。これは同社社長兼最高経営責任者(CEO)のJames E. Heppelmann氏が、コンファレンス初日のキーノートで指摘したものだ。
こうした外的要因に対し経営側は、どのようなビジョンを掲げてビジネス戦略を立案すべきか。また、最高情報責任者(CIO)やIT部門の責任者は、どのような視点でITを活用し、変革を支援すべきか。コンファレンスではこれらの課題に取り組んでいるユーザー事例が多数紹介された。
1985年に創立されたPTCは、PLMの「Windchill」を核に、3次元CADの「Creo」、ALM(アプリケーションライフサイクル管理)の「Integrity」、SCM(サプライチェーンマネジメント)の「FlexPLM」、SLM(サービスライフサイクル管理)など、主に業務プロセスを最適化するソフトウェアを提供している。
中でもCreoは25年以上の歴史があり(2010年以前の名称は「Pro/ENGINEER」)、自動車、航空宇宙・防衛、産業機械といった業界で多く導入されている。また、2012年にはSLMベンダーの米国Servigisticsを2億2000万ドルで買収。同社が持つ補修部品の計画・管理・価格設定をはじめ、フィールドサービス管理、返品・修理管理、サービスナレッジ管理といった機能を既存のSLMに統合し、同分野のさらなる拡充を図った。