77%の最高経営幹部が「製品差別化のカギはサービス強化」
今回のコンファレンスでPTCがもっとも強調したのは、SLM(サービスライフサイクル管理)におけるサービス部門の重要性と、「製品のサービス化(Product as a Service)」へのビジネスモデルの移行である。
Heppelmann氏のキーノート・スピーチでは、「製品が生み出す付加価値をサービスとして提供する」といったビジネスモデルを確立することで、市場での優位性を保持できることが説かれた。
実際、製造業ではサービスを重視する動きが高まっている。

Oxford Economics Americas社長のLou Celi氏
PTCと英国の調査会社であるOxford Economicsが製造業の経営幹部300人を対象に行った調査によると、68%が「今後3年間で業務プロセスの変革を行う」と回答した。また、「開発・サービス部門間の戦略・企画における連携を重視する」と解答した比率は、2010年には54%だったのが、2013年には73%にまで上昇している。
同調査結果は6月10日にコンファレンスで発表された。説明を行ったOxford Economics Americas社長のLou Celi(ルー・セリ)氏は、「製造業は市場や顧客ニーズの変化に対し、自らの事業を変革するべく取り組んでいる実態が顕著になった」と指摘した。
本調査で明らかになったのは、製造業の幹部クラスがサービスの重要性を認識し始めていることである。過去において製造業のサービス部門は、修理や保守が中心であり、利益を生み出す部門ではなかった。しかし同調査からは、市場をけん引する企業は製品とサービスの機能を融合し、パフォーマンスに基づく形でサービスの提供を開始していることが伺える。
実際、77%の経営最高幹部が、市場における製品の差別化を図るうえでの重要要素に「サービス強化」を挙げている。さらに、2015年までに製造業の65%で、パフォーマンスに基づくサービス契約が利用されるようになると予測していることが明らかになった。
現在と3年後におけるサービス戦略とその成長率(複数回答可)。もっとも成長率が高いのは、「パフォーマンスに基づく製品のサービス化」だ

現在と3年後におけるサービス戦略とその成長率(複数回答可)。もっとも成長率が高いのは、「パフォーマンスに基づく製品のサービス化」だ