ただ、Oracleは同じ時期にSPARCサーバの戦略製品として、ミットレンジ向けの「SPARC T5」とハイエンド向けの「SPARC M5」を市場投入していることから、Fujitsu M10の販売にどこまで力を入れるかは不透明なところがある。逆に、富士通がSPARC T5とSPARC M5を、これまでのSPARCサーバと同様にOEM販売するかどうかも今のところ未定だ。こうしてみると、両社の協業関係が変化しつつあることだけは間違いなさそうだ。
「2014年度のミドルウェア事業は、クラウドを支える基盤であることを強く押し出していきたい」 (日本オラクル 桐生卓 執行役員)
日本オラクルの桐生卓 執行役員
日本オラクルが7月31日、クラウドアプリケーション基盤製品群の最新版「Oracle Cloud Application Foundation 12c」を同日から提供開始すると発表した。同社のミドルウェア事業を推進するFusion Middleware事業統括本部長を務める桐生氏の冒頭の発言は、その発表会見で、今後の同事業の最重点となるアピールポイントを語ったものである。
Oracle Cloud Application Foundation 12cには、今回新たに提供開始するアプリケーションサーバの最新版「Oracle WebLogic Server 12.1.2」と、インメモリで利用するデータグリッド製品の最新版「Oracle Coherence 12.1.2」に加え、2012年11月に提供開始したクラウド環境対応の分散トランザクション処理製品「Oracle Tuxedo 12c」が含まれるという。
Oracle Cloud Application Foundation 12cを活用することで、クラウドおよびオンプレミスの業務アプリケーション、それらをデスクトップやスマートデバイス向けに開発・展開可能なミッションクリティカルなシステム基盤を構築できるとしている。桐生氏によると、「クラウドに最適化されたOracle Database 12cの提供開始に合わせ、ミドルウェア製品群も一新を図った」のが今回の発表の主旨だ。
Oracle Cloud Application Foundation 12cのさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは桐生氏が発表会見で明らかにしたFusion Middleware事業における2014年度の注力分野に注目しておきたい。
桐生氏が注力分野として挙げたのは、「アプリケーション基盤ビジネスの促進と強化」「新規市場の創造と先進ソリューションの提供」「Oracle Exalogicのビジネス推進」の3つ。ちなみにOracle Cloud Application Foundation 12cは、垂直統合型アプリケーション実行基盤である「Oracle Exalogic」に最適化されている。
桐生氏はこの3つの注力分野を説明した上で、「特に」と強調したのが冒頭の発言である。こうしてみると、同社が先頃発表したOracle Database 12cを皮切りに、クラウド環境に対応したオラクルの世界がここにきて一気に出来上がりつつあるようだ。この動きはビジネスモデルの大きな転換でもあるが、同社はどう乗り越え、さらなる成長へとつなげるか。大いに注目しておきたい。
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebook、Twitter、RSS、メールマガジンでも情報を配信しています。