日本オラクルは7月31日、クラウドアプリケーション基盤製品群の最新版「Oracle Cloud Application Foundation 12c」を同日から提供すると発表した。
Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部製品戦略部のシニアディレクター、清水照久氏
新製品を構成するのは主に、アプリケーションサーバの最新版「WebLogic Server 12.1.2」、複数ハードウェアのリソースをインメモリで利用する製品の最新版「Coherence 12.1.2」など。プライベートとパブリックの各クラウドを統合するミドルウェアの強化でユーザーニーズに応えるとともに、アプリケーションサーバ専用機「Exalogic Elastic Cloud」をこれに最適化することで、ハードウェアの売り上げも拡大する狙いがある。
WebLogic Server 12.1.2について説明した日本オラクルのFusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部製品戦略部のシニアディレクター、清水照久氏は「7月に発表したOracle Database 12cとの連携強化が大きな特徴だ」と話す。具体的には、Database 12c対応のほか、WebSocketを用いたHTML5対応、クラスタリング、Coherenceとの連携を挙げた。
特に強調したのがDatabase 12cとの親和性向上だ。マルチテナントアーキテクチャなどDatabase 12cで実装された新機能を積極的にサポートするという。例えば新機能の「Application Continuity」では、 WebLogicにひもづく3台のデータベースがある環境で、1台が障害を起こした際、データベースがFAN(Fast Application Notification)と呼ぶ仕組みでいち早く障害をWebLogicに知らせる。それを受けて、障害を起こしていたデータベースが処理するはずだったトランザクションを、残りの2つのデータベースに実行させるように命令できる。
また、データベースにアクセスしてくるアプリケーションの状況を把握し、あまり稼働の必要のないアプリケーション向けにデータベースのリソースを割り当てないようにする機能「Database Resident Connection Pooling」も新たに実装した。
Database 12cとの連携を強化したのがWebLogic Server 12.1.2の特徴だ
Coherenceグリッドがさまざまなアプリに対応
Oracle Cloud Application Foundation 12cのもう1つの柱となるのがCoherence 12cだ。
Coherence 12cでの新たな機能が「HotCache」。複数サーバのリソースを集めて1つの大きなメモリ空間のグリッドを作り、それをデータベース処理などに利用できるのがCoherenceの特徴だ。しかし、処理できるデータ形式がCoherence対応アプリケーションに決まっており、Coherenceに対応していないアプリケーションではCoherenceがつながるデータベースを直接更新できないという課題があった。
今回、Coherenceを経由しないデータベースへの直接変更を検知する機能「GoldenGate」を実装。これにより、Cohrence経由での更新も、それ以外のルートを経由した更新も両方を双方向で把握できるようになった。
このほか、Coherence 12cでは、グリッド上で何らかの変更を検知した際にそれを傍受し、割り込む形でイベント処理を追加できるようになった。「要件変更や追加、拡張が想定される“M2M(機器間通信)”などのセンサ型システム、取引監視や不正検知などのリアルタイム処理領域に向いている」とオラクルは指摘している。
Coherence 12cでの新たな機能が「HotCache」だ
Exalogicを40%値引き
Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏
今回の新製品をExalogicに最適化させたことも、オラクルにとっての重要な取り組みという。ハードウェア本体と関連ライセンスを含めた価格を40%割引する新価格を発表。ソフトウェアとハードウェアの両方で売り上げを増やす考えを改めて示した。
この日、同社の全体的なミドルウェア戦略を紹介した執行役員、Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏は、Fusion Middlewareに関して2014年度に注力する柱として「アプリケーション基盤ビジネスの促進と強化」「新規市場の創造と先進ソリューション提供」「ExaLogicビジネス推進」の3つを挙げた。