IDC Japanは8月26日、日本国内のビッグデータテクノロジ/サービス市場予測を発表した。2012年の同市場規模は206億7000万円、2013年は前年比41.9%増の293億3000万円を見込んでいる。
IDC Japanは同市場について、以下のいずれかを条件としたデータソースを利用して拡張可能なインフラストラクチャで解析するデータをビッグデータと定義している。
- 100Tバイト以上の規模で収集されるデータを有している
- 音声や映像、金融取引情報、センサなどの高速ストリーミングデータを利用している
- 年率60%以上の成長率で生成されるデータ
この定義に基づいて創出されるIT市場をビッグデータテクノロジ/サービス市場として規模を算出している。市場規模は、利用されるサーバやストレージ、ネットワークなどで構成されるインフラストラクチャ、ソフトウェア、サービスという3つの分野を分析している。同市場の2012~2017年の年平均成長率(CAGA)は37.5%とし、2017年には1051億6000万円と予測している。
調査では、市場規模のほかにビッグデータのテクノロジとサービスに対するユーザーの需要動向も調査した。その結果、企業の情報システム部門のビッグデータに対する認知度は74.8%。だが業務部門の認知度は33.5%と低く、すでにビッグデータを提供または利用していると回答した企業は9.8%にとどまっているという実態となっている。
ビッグデータテクノロジの活用を阻害する要因として、投資対効果を見極めることが難しいと半数近くのユーザー企業が考えていることも明らかになっている。ビッグデータテクノロジをまだ利用していないユーザー企業でも、自社の業務に参考になる事例や同業他社で有効な取組事例があれば、活用を検討すると回答しており、有効な事例の提示がユーザー企業の関心を高めることが分かったと説明している。
この調査結果からIDC Japanでは、同市場は依然立ち上がりの時期にあるが、先行する企業が有効な成功事例を提示することで、認知度と重要度の認識が一般市場に波及する段階にあるとみている。同社の林一彦氏(サーバーリサーチマネージャー)は以下のようにコメントしている。
「ビッグデータテクノロジの普及には構造化、非構造化にかかわらず、幅広い分析技術を組み合わせて提案していくことが重要」

2011~2017年の国内ビッグデータテクノロジ/サービス市場での売上額予測(出典:IDC Japan)