イベント「VMworld 2013」でVMwareは、主力のサーバ仮想化分野に加え、ネットワークも仮想化し、データセンター全体を一元的に構築する「Software-Defined Data Center」のコンセプトを強調した。また、パブリッククラウドの提供、プライベートクラウドとパブリッククラウドを統合するためのプラットフォームなどVMwareが新たな展開に注力していることを印象づけた。
発表の意図や今後の展開について、さまざまな論点がある中、VMwareの最高経営責任者(CEO)、Pat Gelsinger氏が日本のメディアのグループインタビューに応じた。
--オンプレミスの環境とパブリッククラウドを連携するハイブリッドクラウドの構築基盤について。
VMware CEO、Pat Gelsinger氏
既にVMwareのライセンスを持つ企業に向けて、プライベートクラウドをデータセンターにシームレスに拡張するためのものです。オンプレミスとクラウド環境を共通の管理ツール、セキュリティ、ポリシーで運用できます。実装する際に、アプリケーションに何も変更を加える必要がないという意味で、真のハイブリッドクラウドを構築できると考えています。
一方で、AWS(Amazon Web Services)は成功していますが、各アプリケーション開発に特化する必要があり、各サービスを構築するために必要な技術力が求められます。その意味で、時々競合するものの、現状はAWSとわれわれは異なる市場を目指していると認識しています。
--ハイブリッドクラウドのサービスで特に焦点を当てている顧客のタイプや業種がありますか?
既存ユーザーならば自然な形でハイブリッドクラウドを利用できる仕組みになっているため、VMwareを利用している企業が基本的な対象顧客です。初日の基調講演で、いくつかの早期ユーザーを紹介しました。金融、医療などさまざま業種で利用実績があります。業種を選ぶ垂直型というよりは、水平的なビジネスとして展開します。
--VMwareが高コストであるためオープンソースへの移行を考えているという企業の声も聞こえてきますが、そのことについてどう考えていますか。
VMwareほど良いROI(投資対効果)をユーザーに提供してきたベンダーはありません。企業が他製品を含めてベンチマークを取るとき、財務的な観点が必要になります。異なるハイパーバイザを利用すると、結果として高くつくことが分かっています。要因として、1台のサーバに実装できるVM(仮想マシン)の数が多いという意味での高密度性が挙げられます。