規模は14兆ドル--“Internet of Everything”市場でトップを目指すシスコの要諦

齋藤公二 (インサイト) 2013年10月09日 16時54分

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 シスコシステムズは10月8日、2014年度事業戦略説明会を開催した。米Cisco Systemsの社長兼最高執行責任者(COO)のGary Moore氏、シスコシステムズの代表執行役員社長平井康文氏らが、ワークスタイル革新、クラウド、The Internet of Everything(IoE)を3本柱とする事業戦略を解説した。

 Moore氏は、企業ネットワークを取り巻く現状と今後、同社の立ち位置を説明した。「2012年はデータの80%がクラウドで運用された。2014年以降は人口よりもデバイスの数が多くなり、2017年には190億のデバイスがネットにつながる見込みだ。企業は、この市場の変化にどう対応するか考え方を変える必要がある。こうしたIoEの世界では、人やプロセスなどすべてのものがネットの中で動くことになるため、企業の価値はネットで差別化されていくことになる」との見通しを示した。その上で同社の立ち位置について、次のようにアピールした。


Cisco Systems 社長兼COO Gary Moore氏

 「シスコは、メールからeコマース、ボイス、コラボーレションシステムまでにいたるネットワークの大きな変化の中で、市場のリーダーとしてインテリジェントなネットワークの構築に大きな役割を果たしてきた。IoEの市場規模は14兆4000億ドルにまで拡大するといわれており、シスコにとっても大きなチャレンジであり、チャンスだ。IT企業の中でナンバーワンになることがわれわれの目標。これは規模ではなく、顧客の戦略的なパートナーとしてナンバーワンになるということだ」

 Moore氏は、インフラの整備状況やパートナーの取り組みなど「日本はIoEの価値を最大限に生かそうとしている国」だと主張。2020年の東京五輪開催に向けて取り組みが加速することに期待しているとした。

 平井氏は2013年の成果を振り返りながら、2014年の事業の注力分野を解説した。成果として、2013年に取り組んだビデオコラボレーションやユニファイドコンピューティングシステム、IoE、Cisco ONE、サービスプロバイダーとしての取り組みなどについて、事例をもとに説明した。

 ビデオコラボレーションの事例としては、テレプレゼンスを全拠点に導入した広島銀行やSMBC日興証券の例がある。産業競争力会議の議員向けにもテレプレゼンスを提供した。ユニファイドコンピューティングでは、EMCとVMwareと取り組むVCE連合や製品「VPLEX」、NetAppと取り組む「FlexPod」プラットフォームなど。国内では、これらは対前年比で2.5倍に伸びたという。

 IoE分野では、Internet of Things(IoT)インキュベーションラボ開設やニセコ町でのWi-Fi実証実験、西武ドームスタジアムWi-Fi環境提供がある。そのほか、Cisco ONEとしてSDNへの取り組み(SDN応用技術室の設置や「Project OpenDaylight」への参加)や、サービスプロバイダーとして、4G LTEネットワーク向けに製品の提供、クラウド&マネージドサービスプログラム(CMSP)の提供などの取り組みを紹介した。

 M&Aも積極的に行った。M&A企業は過去12カ月で19社。主なものでは、データセンター管理のCloupia(2012年11月発表)、クラウドネットワーキングのmeraki(2012年11月発表)、ポリシーサービス管理のBroadHop(2012年12月発表)、モバイル分野でのUbiquisys(2013年4月発表)、エネルギー管理のjoulex(2013年5月発表)、セキュリティのSourcefire(2013年7月発表)、ストレージのWhiptail(2013年9月発表)がある。国内法人が存在する企業については、シスコシステムズとの人員の統合も進めているとのこと。


シスコシステムズ 代表執行役員社長 平井康文氏

 平井氏は「今日のITはIoEやクラウド、BYOD(私物端末の業務利用)などのトレンドで事業部門の重要性が高まっている」と説明。IT予算の9割は事業部門が持つというデータもあるという。そんな中で2014年度の事業の柱には、ワークスタイル革新、クラウド、IoEを置いた。

 ワークスタイル革新については、企業における「テクノロジの活用、多様で柔軟な就業環境の提供、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透」をテーマにする。シスコでは、テレワークやBYODなどの施策を社内で実践してきたが、それらから得たノウハウを顧客や社会に還元していくとのこと。

 クラウドでは、シスコ自らが提供する「WebEx」や「ScanSafe」などのコラボレーションサービス、セキュリティサービスのほかに、パートナーが展開する“Cicso Powerd”のサービスに力を入れていく。

 すでに多くの実績があり、たとえば、NTTコミュニケーションズと進めているホステッドコラボレーションソリューション(HCS)、ソフトバンクテレコムやエネルギア・コミュニケーションズ、ディメンションデータ、伊藤忠テクノソリューションズと進めるIaaS、IIJグローバルソリューションズやKDDIと進めるTPaaS(TelePresence as a Service)、KDDIやリコーと進める中堅中小企業向けクラウドサービスなどがある。

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