シンガポールの医療機関Khoo Teck Puat Hospital(KTPH)にSAS Instituteシンガポール法人のShanmuga Sunthar氏は、従来病院に導入されていたシステムをしのぐという患者管理システムを導入した。同病院はこのほど、患者の再入院履歴を活用し、予防可能な病気の発症を抑えるため、SAS Instituteと協力して予測分析に着手した。
SAS SingaporeのShanmuga Sunthar氏
医学的な研究によれば、環境やライフスタイル、行動などの要因は、患者の回復の可能性や回復スピードなどに大きく影響する。健康状態を決定する要因のうち、遺伝的要素などの改善不能な要因は30%を占めるのに対し、残りの70%は医療の質や社会環境、個人の行動などの改善可能な要因と言われている。
しかし、多くの人々が、このような医療と直接関係のない要因が、しばしば病気再発の原因になっていることに気付いていない。このため、KTPHとSAS は、どの患者が再入院する可能性があるかを1カ月前の時点で予測するため、予測分析を活用した実証プロジェクトを共同で立ち上げた。
医療サポートが必要になる時期を予測
SASの専門家の支援や、KTPHの高齢者在宅ケアとヘルスケア分析チームの協力のもと、予測分析モデルが基礎から設計された。データマイニングツール「SAS Enterprise Miner」を利用する予測分析モデルは、半年以内に2回を超える再入院記録のある患者の過去の退院データや、生物学的社会学データの分析に活用される。予測は、統計的に最適化されたパラメータに基づいて割り出され、翌月再入院する可能性がある患者リストが、病院に提供される。
この結果に沿って、病院は、再入院の可能性がある患者に焦点を合わせて自宅訪問プログラムを計画できる。予測される需要に応じて、より効率的な人員配置や管理も可能になる。