SAPジャパンとブレインパッドは11月20日、アナリティクス分野でマーケティングや販売促進などで協業していくことを発表した。独SAPが米KXENを買収したことに伴う。KXENは独自の予測分析技術で知られており、ブレインパッドは、同社の主力代理店として国内で実績がある。
独SAPは10月にKXENの買収を完了。KXENの技術はモデル構築と分析作業を自動化することで、業務部門の一般ユーザーもアナリティクスを可能にしていることが大きな特徴だ。
KXENはデータマイニングソフトであり、機械学習の機能を基盤に属性データや購買データ、ウェブでの行動履歴、ソーシャルグラフ、位置データなどのさまざまなデータを分析し、有意の情報や知見を抽出できる。従来のデータマイニングでは、サンプリングやデータ分別、変数選択、データ加工などのデータ準備作業を経て、モデル構築し検証するというような工程が必要になる。KXENはデータ準備やモデル構築の大半を自動化しており、処理時間の大幅な短縮が見込めるという。

SAP グローバルバイスプレジデント&ゼネラルマネージャー Shekhar lyer氏

ブレインパッド 代表取締役社長 草野隆史氏

SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部 アナリティクスソリューション本部 部長兼クラウド事業開発担当 中田淳氏
KXENは、自動化で分析工程をシステム化でき、ほかの技術などに組み込むことができるため、大量のモデル作成が実現し、適用範囲を一層多様化できるようになるという。従来、分析の質は、分析者の持つノウハウや経験に依存することが多かったが、このような属人性を解消できることも特徴とされている。
SAPでビジネスインテリジェンスなどの分野を担当するグローバルバイスプレジデントでゼネラルマネージャーのShekhar lyer氏は「KXENは、操作が容易で、データサイエンティストだけでなく、一般的なビジネスユーザーも予測分析できる。この技術をSAPのソフトウェアに組み込み、よりインテリジェンスな解析が可能になる」と語り、SAPが同社を買収した理由を説明した。
ブレインパッドは国内で、KXEN製品の販売が開始された2006年当初から代理店契約を締結。国内では40社に導入しているほか、KXEN製品のローカライズや販売、導入サポート、KXEN製品の利用に際してのコンサルティングや導入企業へのトレーニングも展開している。
ブレインパッド代表取締役社長の草野隆史氏は「SAPの分析技術にKXENを組み込み、当社の分析ノウハウを融合させる。今後、共同プロジェクトや人材交流なども含め、ナレッジの共有やマーケティング活動を推進していきたい」と述べ、SAPとの協業に重点を置いていく意向だ。
SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部 アナリティクスソリューション本部 部長兼クラウド事業開発担当の中田淳氏は「これまで予測分析などの高度な分析はデータサイエンティストがついていなければ実行は困難だった。KXENを導入すれば、そのような課題を解決できる」と説明。ビッグデータ分析の必要に迫られても、データサイエンティスト不足で対応できないとの状況を打開する役割をKXENに期待する。
同社はサプライチェーン管理システム(SCM)や顧客情報システム(CRM)、産業特化型などと組み合わせることで幅広い領域、予測分析を活用できるようにしていく方針で「今後1年で導入企業を現行の2倍となる80社ほどに増やしたい」(中田氏)としている。