三国大洋のスクラップブック

アマゾン、グーグルのロボット開発と「即日配達」をめぐる争い

三国大洋

2013-12-12 08:28

 年末商戦という季節柄か、買い物と物流をめぐる話題を扱った記事が米国などのメディアでも目立っている。今回はそうした話題と、AmazonやGoogleによるロボット開発――物流のオートメーションにする話題の交わるところについて、目に止まった話をいくつか紹介する。

 今月はじめに、Amazonが「Prime Air」という無人ヘリコプターの映像を公開して世間の注目を独り占めしたことは前回記した通り(註1)。だが、その直後に実はGoogleでもロボット開発に着手している、という話がNYTimesで報じられていた。

Google Puts Money on Robots, Using the Man Behind Android - NYTimes

 例の自動走行車プロジェクトなど、いわゆる「moonshot」に分類されるプロジェクトがよく知られているGoogleのことだから、ロボット開発と聞いてもそれだけだとインパクトに欠けるのだけれど、そのプロジェクトを率いているのがAndy Rubin――今年初めに表舞台から姿を消して以来、ほとんど話を見聞きすることのなかったAndroidの生みの親とあって、それなりに大きな話題になっていた(註2)。

 この話でもう1つ意外だったのは、Rubinらが進めようとしているロボット開発が、主として産業用を狙ったもの、というところ。具体的には「製造現場から家庭の玄関先に至るサプライ(物流)チェーンの中にある(自動化できそうな)いくつかの部分をロボットを使って自動化する」ことなどと書かれている(註3)。

 Andy Rubinというと、Androidに至るまでに、往年の「General Magic」(元AppleのBill AtkinsonやAndy Hertzfeldなどが創業)や「Danger」(後にMicrosoftが買収)に関わっていたことは知っていたが、もともと機械工学のエンジニアだったというのは今まで知らなかった(レンズメーカーのCarl Zeissでロボット工学関連のエンジニアとして働き始め、その後Appleに製造関連のエンジニアとして採用された――という記述がNYTimes記事にも、WikipediaにあるRubinのページにもある)。Rubin本人にとってロボット開発は「原点回帰」ということになるのかもしれない。

 なお、この記事にはRubinのチームが「Google X」ラボとは別働隊として動いていること、また関連分野のベンチャーを7社ほどすでに買収していことなども記されている(買収した企業の中にはSchaftという日本のベンチャーの名前もある)。さらに、パロアルト――Google本社のあるマウンテンビューとは別――にこれから置く拠点以外に、日本国内にもオフィスを置く予定、という記述もある。

[Meka M1 Mobile Manipulator] (NYTimes記事ではグーグルが買収したベンチャー各社の開発した4つのロボットの動画が紹介されている。このM1というヒト型ロボットもそのひとつ)


 NYTimes記事に目を通しながら、すぐに頭に浮かんでいたのは、Amazonが去年の3月に買収したKiva Systemsのこと、それにGoogleの自動走行車と、Google Ventures(Googleのベンチャーキャピタル部門)が今年夏に2億5800万ドルもの大金を投資していたUberのことなどだった(Uberについてはまだそれほど馴染みのある名前ではないかもしれないが、「単なるタクシー/リムジン・サービスの会社では終わらない」という見方なども出てきているので、別の機会にまとめて触れることにする)

[Kiva Systems | Think Logistics]

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