三菱総研DCSは、同社が提供するサービスの中核拠点となっている「千葉情報センター」で運用するメインフレーム基盤のバッチ処理データの保管先として、既に導入していた仮想テープ装置(ディスク装置上でテープドライブを仮想的に実行させることで、システムに対してあたかもテープドライブが接続されているかのように認識させる仕組み)のバージョンアップを実施し、バックアップ基盤を刷新した。システムを提供した日本オラクルが2月5日に発表した。
三菱総研DCSの給与・人事サービス「PROSRV」は2000あまりの事業所からの委託を受けている事業で、同社千葉情報センターのメインフレーム基盤により運用されている。このメインフレームがバッチ処理で参照、更新するデータについては、これまでオラクルのテープライブラリ最上位機種「StorageTek SL8500 Tape Library」SL8500)で保管してきた。2005年には「StorageTek Virtual Storage Manager System 4」(VSM4)を導入、アクセス頻度の高いデータをVSMのディスク領域に保存するようにしている。
しかし数年前から、バッチ処理で扱うデータが増加したためVSM上に常駐できるデータが約1日程度となって、処理性能低下を招いていたという。その解決のため、2012年6月、VSM4の3倍のディスク容量を持つ「VSM 5」に置き換え、約5日分のデータを常駐できるようにした。また、同じタイミングで、VSMに外付けでディスク領域を拡張する「StorageTek Virtual Library Extension」(VLE)を新たに導入、VSMからのアクセス先を物理テープのライブラリではなく、VLEのディスク領域で処理するようにし、2013年半ばに稼働を開始した。
さらに、ホストコンピュータとVSMとの接続を高速のFICON(光ファイバ接続)に変更した。VSMディスク容量の増加によりデータの常駐率が大幅に向上し、テープから読み出す頻度が減少、三菱総研DCSによれば処理時間を80%以上も短縮できたという。VSMへのアクセス頻度が高いバッチジョブにおいても、処理時間が約60%短縮したとのことだ。
三菱総研DCSでは、今回刷新した仮想テープ基盤の技術を、さらに災害対策の仕組みにも適用する計画を進めている。現在は、千葉情報センターから離れた別のデータセンターにもSL8500を配置し、本番サイトの一部データを遠隔でバックアップしており、このセンター内のSL8500をVLEに置き換え、VLEの筐体間データコピー機能を使って遠隔バックアップを行うことを検討しているという。
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