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米Nutanixは仮想化技術を用いてサーバとストレージを統合したシステム基盤を提供し、仮想化コンピューティングの分野で新たな潮流を作り出そうとしている。2013年には日本法人を設置し、この1月には1億100万ドルの増資が完了するなど、攻めの姿勢を見せている。同社の提示している技術とはどのようなものか。同社のアジア圏と日本を担当するシニアマーケティング ディレクターのPaul Serrano氏とNutanix日本法人代表の岡田卓也氏にその戦略を聞いた。
単一のアプライアンスにより、サーバとストレージを統合化
Nutanixは、「Google File System」や「Oracle Database」、「Exadata」の開発に従事した人々などにより2009年に設立された。1年半ほどの間は設計に専念し、製品出荷は2011年から開始した。最近ではおよそ200か国で販売を展開し700社の代理店がある。同社は、大企業や中規模企業向けに仮想コンピューティングのためのプラットフォームとしてウェブスケール対応のITインフラを提供している。
シニアマーケティング ディレクター Paul Serrano氏
「Nutanix Virtual Computing Platform」は、単一のアプライアンスによりサーバとストレージを統合化している。Serrano氏は「当社の製品は、VMware vSphare、Microsoft Hyper-V、KVMなど、市場の主流であるハイパーバイザをサポートでき、Microsoft SQL ServerやMicrosoft Exchangeなど、多くの企業で利用されているサービスをそのまま使うことができる。無論、Orale、SAPもだ。導入が容易で、従来3カ月ほどかかっていいた作業は1日で済む」と話す。
この製品はSAN(Storage Area Network)などを使用することなく、サーバ群とストレージ階層を単一の統合されたアプライアンスに集約したことにより、従来、大きな設置スペースと大容量ストレージを準備する必要があった統合システムを2Uの最小構成から開始でき、ノードを1台から追加することが可能な仕組みを実現している。
Nutanix Virtual Computing Platformが容易に導入できるのは「複雑な仮想化基盤を単純化しているためだ」(Serrano氏)という。「このような製品を利用したいと考えている層すべてが望んでいるのは、統合と集約だ。この2つに応えるため、サーバとストレージを一体化した。“箱”が6つも7つもあっては、管理は複雑になるばかり。求められているのは、シングルインターフェースだ。導入時のコストが削減できるだけでなく、スケールアウトの技術が特徴であり、理論上は拡張しつづけることが可能だ。企業それぞれの業務の状況に応じ、必要なものだけ追加していくことができる」とSerrano氏は指摘する。
製品は、小規模な運用形式から大規模な仮想デスクトップのシステム、テスト環境や開発用アプリケーション、ビッグデータまで、需要に応じて柔軟に構築していくことが可能となる。
SANやNASなどの専用ネットワークで接続する構造には限界があり、拡張性の不足やパフォーマンスの低下、システムの複雑化や管理の煩雑性、仮想環境での多様な要求に対応できなくなっているなど、多くの課題が指摘されている。Nutanix Virtual Computing Platformはこうした課題に対する回答として提示されたという。