POS端末狙う「ChewBacca」--Torで通信秘匿、犯罪組織が自ら開発か

NO BUDGET

2014-02-06 19:44

 EMCジャパンのRSA事業本部が2月6日に公開した「Monthly AFCC NEWS」2月号(Vol.78)によると、オンライン型POS(販売時点情報管理)端末を狙った“大変効率のいい仕事をする”新型のトロイの木馬「ChewBacca」が発見されたという。

 ChewBaccaは、2013年12月に米国有名小売店の決済ネットワークから4000万人分ものクレジットカード情報が漏洩した事件で使われた。キーロギングやプロセスメモリスキャンにWindowsのAPIを使っており、Windowsベースのオンライン型POS端末を狙ったものとみられている。

 制御、指示を出す“コマンド&コントロールサーバ(C&Cサーバ)”への通信には「Tor(The Onion Router)」を活用するなどして通信を秘匿化している。その一方で、ChewBaccaは「仮想環境で動作しない」など最近の多くのマルウェアが持つ、外部からの解析を妨害する仕掛けをまったく儲けておらず、デバッグ情報も容易に取り出せたという。自己完結型であり、ほかに必要なモジュールのない単純な構造のため、ファイルを削除するだけで、端末から除去できるシンプルな作りとなっている。

 これまでにもPOS端末を狙ったトロイの木馬は存在しており、2012年末には「Dexter」「vSkimmer」が注目を集めた。これらは地下市場で流通させる前提で開発された“商用モデル”であるのに対して、ChewBaccaは、こうした特徴から特定の犯罪組織が自らの犯行のために開発した“プライベートモデル”とみられるとしている。

 ChewBaccaによるクレジットカード情報の摂取が初めて確認されたのは2013年10月25日。それから3カ月の間にロシアやカナダ、オーストラリアでも発見されている。解析防御などの不備など洗練性に欠けるところもあるが、ChewBaccaは、非常にシンプルであるにもかかわらず、大変効率のいい仕事をするトロイの木馬として、大いに注意をする必要があると警告している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  4. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]