地方銀行の東邦銀行は、渉外支援機能の充実を図るため仮想デスクトップ基盤を構築した。タブレットと行内システムを連動させる。2月10日から順次本格運用を開始し、3月までに合計約1000台のタブレットを全店舗に展開する予定。富士通が2月18日に発表した。
福島市に本店を構える東邦銀行は、東日本大震災からの復旧、復興に向けて、より多くの顧客のニーズに対して質の高い提案を行うことを目指している。顧客との取引情報やコンタクト情報は厳重に管理され、訪問先では顧客情報を参照できず、訪問前に確認した情報のみで営業活動を展開する必要があった。パンフレットや提案書類、申込書類の持ち運びなどが負担となっていたという。
タブレットは、閉域網の企業向けネットワークサービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICS II」で行内と接続。タブレットから仮想デスクトップを経由して、東邦銀行内の顧客情報管理(CRM)システムや業務マニュアルなどが登録されている文書管理システムを利用できる。
東邦銀行専用のネットワークとなり、外部からの不正なアクセスを防止している。タブレットと東邦銀行の行内システムとの間でやりとりされるデータは暗号化されており、不正に傍受されてもデータの復元が難しい仕組みという。
携帯用モバイルプリンタで金融商品の申込書や通帳・証書などの受取証を印刷できるアプリも新規に開発。金融商品の紹介から申し込みまで、その場でスピーディーに展開できるという。
東邦銀行の営業担当者は、タブレットを利用して、訪問先で顧客の取引情報を参照できる。タブレットの紛失や盗難に備え、指紋に加えてIDとパスワードで認証する。
今回導入された仮想デスクトップサービスは、行内システムのデータ処理は内部で行いたいという東邦銀行の考えから、東邦銀行のシステムセンター内に富士通のサーバ群を設置している。富士通は、サーバ群を遠隔地の運用センターから24時間365日、運用監視している。月額サービス型で提供されるため、投資コストを平準化できるという。
システムのイメージ(富士通提供)