Dellが社内での女性の活用や女性起業家の支援に積極的に乗り出している。「女性の能力はまだ活用されていない」と語るのは日本法人執行役員の小林治郎氏、社内外での女性支援がDellの成長にも結びつくとの確信あっての言葉だ。
6月はじめにDellがトルコ・イスタンブールで開催した女性起業家向けイベント「Dell Women's Entrepreneur Network(DWEN)」の会場にて、コンシューマ・スモール&ミディアムビジネス営業統括本部で統括本部長を務める小林氏に、なぜ女性起業家なのか、Dell社内での女性活用、起業家がターゲットとなるソリューションなど事業戦略について話を聞いた。
Dellの執行役員小林氏、自身も25歳の時に起業した起業家。そのため「スモールビジネスにはこだわりがある」と語る。
--女性起業家を支援するイベントDWENが4年目を迎えました。なぜ女性起業家支援なのか、事業面の狙いについて教えてください。
大きく3つあります。1つ目として、女性起業家が活躍するとその国の経済に良い影響が出ることが、さまざまな統計から実証されています。日本でもやっと、現在の安部内閣が言い出しました。女性の起業促進をDellが支援することで、国やビジネスの発展に早期段階からかかわることができます。
2つ目として、DWENに参加する女性起業家にDellに対して良い印象を持って頂き、取引を拡大していきたいと思っています。起業した会社が成長することは、Dellのビジネスの成長にもつながります。
今回DWENに160人ほどの起業家に参加いただきましたが、取引額からみると相当な額に達しています。実際、女性が起業したベンチャー企業の成長スピードは平均を大きく上回っています。Dellだけでみても、男性よりも女性が起業したベンチャー企業の方が成長スピードは高いのです。
3つ目として起業家、そして女性起業家支援のDWENをしっかりブランド化していきたい。Dell自身が(創業者で現最高経営責任者=CEOの)Michael Dellのベンチャーです。ベンチャーからここまで成長した現在、今度は起業家にやさしいDellというイメージが広がっていけばと願っています。ベンチャーがビジネスしやすい企業と思っていただければ何よりです。
--日本法人での女性の起用について教えてください。
女性管理職の割合は15%、これはほかの外資系IT企業と比較しても高い比率です。中でも、課長レベルの女性比率は16.3%で、これは日系企業と比べても高いです。産休の職場復帰率は100%、2回産休を取った後に戻ってくれた女性もいます。これは非常にありがたいことです。人に投資しているので、戻ってこないことは損失ですから。
Dellが全社展開している女性のキャリアやメンタリングを支援するプログラム「WISE(Women In Search of Excellence)」を日本でもやっており、女性の営業担当部長がリーダーとなっています。今後このようなプログラムの展開、女性管理職を増やしていきたいと思っています。
世界全体で見ると、中国は例外ですが、日本やアジア地域は女性の幹部層が少ない。日本では、子育てについて(託児所などの)制度と(子どもは母親が育てた方がよいとする風潮など)社会的な面も障害になっているようにみえます。