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通信のゆくえを追う

通信キャリアの競争優位性--固定網の優劣がカギ - (page 3)

菊地泰敏(ローランド・ベルガー)

2014-03-17 07:30

 もう1つ、音声通信とデータ通信についても考えてみたい。

 電話、すなわち音声通信よりも、データ通信、すなわち電信の方が歴史が古い。通信はデータ通信から始まったのである。

 その後、アレキサンダー・グラハム・ベルの電話の発明により、音声通信が興隆してきた(実は、電話の本当の発明者はベルではないというのが科学史家のなかでは明らかになっているが、この話題については別の機会に)。その後、通信ネットワークはいかに音声を効率よく伝送するかという視点で最適化が図られてきた。

 音声をデジタル化しデータとして送信することで格段に効率化が進み、また逆にデータ通信を音声ネットワークで行うためにモデムが開発された(今でも家庭用のfaxなどで、ピーヒョロヒョロ、ガーガー、などといった音を聞くことができるが、あれは「データを音声化」して送っている音なのである)。

IP全盛の現状も、将来は変化も?

 また、音声通信は基本的に回線交換のネットワークで行われ、パケット交換はデータ通信用に用いられることが多い。しかしながらIP(インターネットプロトコル)の普及により、あらゆる通信をパケット網でカバーするのが昨今のトレンドである。携帯電話による通信も、音声は回線、データはパケットというのが3Gまでの世界であったが、LTE化により音声もパケット化しようかというところまで来た(VoLTE/Voice over LTEという)。

 このように、有線と無線、音声とデータ、回線交換とパケット交換という技術が複雑に絡み合いながら、時代によって重視されるものが入れ替わりながら発達してきたのが通信ネットワークなのである。

 現在は、無線、データ、パケット交換がトレンドである。しかしながら、有線、音声、回線交換を軽視していると、将来のどこかのタイミングでしっぺ返しを受けるであろう。

 イノベーションは、ちょっと天邪鬼(あまのじゃく)な視点から生まれる。

 そういった意味で、グーグルが「Google Fiber」と称する実証実験を行ったり、あるいはソネットが「Nuro」という新たな有線サービスを提供したりという、時代のトレンドとは異なる動きを見せているのは注目に値することなのである。

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菊地 泰敏
ローランド・ベルガー パートナー
大阪大学基礎工学部情報工学科卒業、同大学院修士課程修了 東京工業大学MOT(技術経営修士)。国際デジタル通信株式会社、米国系戦略コンサルティング・ファームを経て、ローランド・ベルガーに参画。通信、電機、IT、電力および製薬業界を中心に、事業戦略立案、新規事業開発、商品・サービス開発、研究開発マネジメント、業務プロセス設計、組織構造改革に豊富な経験を持つ。また、多くのM&AやPMIプロジェクトを推進。グロービス経営大学院客員准教授(マーケティング・経営戦略基礎およびオペレーション戦略を担当)

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