心構え2 再生への道はまずは引き算から
再生プランの中で、売り上げ、新商品開発などは非常に重要な要素ですが、前回の記事でも伝えた通り、足元の資金繰り、経常収支をプラスにするには、まず、コストカットがいくらできるかが勝負になります。言い換えれば、自分たちでコストコントロールできる範囲をどの程度持っているか、引き算がどこまでできるかが再生の可能性を見極める大きなポイントになります。
再生現場でのシーン--その2
・ 高田企画部部長
「過去の多角化の中でわれわれは20以上の事業を持っているが、そろそろ整理が必要だ。実際、いくつかの事業は万年営業赤字だ。これらの再生可否の見極めを早期に行いたい。皆の意見はどうだろう。例えばF事業はすぐやめるべきだと思うが」
・ 藤原企画部課長
「確かに、F事業の営業利益はマイナスですが、一方で付加価値が大きく、コスト削減による採算性改善の可能性がかなり見込めます。他方、H事業の営業利益は何とかプラスですが、付加価値が低く、これ以上の採算性改善が難しい状況です」
・ 高田企画部部長
「なるほど。藤原課長の見立てにも一理ある。その見立てで各事業の再生の可能性を検証してみようか」
われわれIGPIが、業績不振企業に入った際に、まず見る点は財務諸表に加えて、対象会社の付加価値(売り上げ-外部調達)の大きさです。「付加価値の大きさ≒自分たち自身でコストコントロールできる(しやすい)範囲」となりますので、事業再生の可能性を見る際に、この大きさは一つの重要な参考指標となります。
例えば、以下の図にあるように、会社の付加価値が小さくなるに従い、再生の難易度が上がってきます。一方、過去われわれが支援した外食企業は付加価値率が非常に高いため、コスト削減余地が大きく、短期間でのターンアラウンドに成功しています。
このように、再生の可能性を見極める際に、この付加価値の大きさに着目するのは、われわれの経験では非常に有益な方法だと考えています。(参考資料2参照)
(参考資料2)