本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通研究所の佐相秀幸 代表取締役社長と、マカフィーのBruce Snell マーケティング本部ディレクターの発言を紹介する。
「インベンションと共に新たなビジネスモデルを提案しながら、イノベーションに貢献していきたい」 (富士通研究所 佐相秀幸 代表取締役社長)
富士通研究所 代表取締役社長 佐相秀幸氏
富士通研究所が先ごろ、2014年度の研究開発戦略について記者説明会を開いた。佐相氏の冒頭の発言は、その説明会で、今後の活動における意気込みを語ったものである。富士通グループの研究開発機関である同研究所が毎年恒例で開くこの記者説明会は、国内最大手のIT企業グループの技術革新の方向性が示される貴重な場である。
佐相氏は富士通研究所の活動について、「富士通グループの成長を技術でけん引することがミッションだ。新たなバリューチェーンの極大化および再構築が鍵になる」と説明。研究テーマは、新事業創出や事業の競争力強化に向けた「先行研究」、事業に直結する「事業化研究」、研究所の見識で取り組む革新的技術の「シーズ研究」の3つに分類しており、資源配分をトップダウンで決定していると語った。
その中でも最も割合の大きい先行研究については、人と情報、インフラをつなぐフロント技術の開発とサービスを創出する「ユビキタスイノベーション」、情報やデータの利用によってソーシャルビジネスを拡大する「ソーシャルイノベーション」、新たな価値をもたらす新規統合型のICTプラットフォームを開発する「ICTイノベーション」、テクノロジバリューチェーンに欠かせないハードウェアやソフトウェアの技術を開発する「ものづくりイノベーション」といった4つの領域に取り組んでいると説明した。
2014年度の研究開発の方向性としては、富士通が4月4日に発表した「Fujitsu Technology and Service Vision 2014」にのっとり、人、情報、インフラ、共通な基盤という4つの観点から推進するとし、人については「ヒューマン・エンパワーメント」をキーワードに、フロントを起点とした人に寄り添うICTを実現。情報については「クリエイティブ・インテリジェンス」をキーワードに、異種情報の連携やデータの利用や活用により社会サービスを提供。インフラについては「コネクテッド・インフラストラクチャ」をキーワードに、ソフトウェア制御によりオンデマンドでサービスを提供。共通な基盤については「ものづくりを支え、ICTバリューの向上に貢献」することを掲げている。