情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2014」によると、エンジニアなど人材について開発現場では、「大幅に不足している」という割合が19.0%と、2012年度の12.2%から増加している。また、「やや不足している」の割合との合計では82.2%と、2012年度の72.0%から10ポイント増という結果が出た。エンジニアの確保が難しい昨今、採用活動にも工夫がみられる。
デジタルコンテンツ向け不正コピー対策事業のサイファー・テックは5月28日、社員が季節ごとに勤務地を選べる制度を導入すると発表した。地方志向の人材に対しての募集により採用効果が上がり、社員数を約3倍に伸ばせたためという。
現在サイファー・テックは、東京本部(営業職や事務職など)、徳島開発部(開発職)、美波本社(開発職)の3拠点を設置し、社員は職種に応じてそれぞれのオフィスにて就業している。今後はITインフラとPCがあれば職種や場所に関わらず業務を遂行することが可能であるとし、職種や業務内容にかかわらず、社員が季節ごとに自ら勤務地を選べる「フリーオフィス」を推進する。
サイファー・テックでは、従来は人材募集への反応がなく、慢性的な人員不足が事業成長の課題になっていた。地域に拠点を設けることにより、都会で働きたい層ではなく地方志向の人材に対して訴求すべく、2012年5月に徳島県美波町にサテライトオフィス「美波Lab」を開設した。その後2013年に東京から美波町へ本社を移転している。
美波Labでの働き方や暮らし方として、アウトドアなどの趣味を充実させ、リフレッシュした状態で業務に取り組み、趣味や地域での活動と業務とを両立させる「半×半IT(×は個人の趣味や生活)」を提唱した。
その結果、美波Labや、提唱の共感から人材の応募が増え、社員増員とともに事業機会を拡大したという。美波Lab開設以前と比べて社員数は7人から20人へと約3倍になり、業績も順調に推移しているという。