アプリケーションのデプロイを自動化するオープンソースのエンジン「Docker」のバージョン1.0がついに、米国時間6月9日にリリースされた。
MicrosoftやIBM、Rackspace、Googleといったクラウドベンダーに加えて、CanonicalやRed Hatといった大手のLinuxベンダーは、Dockerのサポートをそろって表明している。
米ZDNetにおける筆者の同僚であるSteven J. Vaughan-Nicholsが説明しているように、Dockerは仮想マシンではなくコンテナを用いることで、同一サーバ上で複数のアプリケーションを同時に稼働できるようにする。これは、分散アプリケーションの設定やデプロイをより容易に行いたい開発者や管理者向けのプラットフォームだ。
Dockerのテスターらは既に 「Microsoft Azure」上のLinux仮想マシンでDockerのプリリリース版を稼働できるところにまで到達していた。しかし6月9日から10日に開催された「DockerCon 2014」では、Microsoftの関係者らがAzureの仮想マシン拡張機能を用いてAzure上のLinux仮想マシンにDockerをデプロイするデモンストレーションを実施した。
DockerがAzure上で稼働する際には、Microsoftのクロスプラットフォームツールセットである「Azure CLI(command-line interface)」と統合されるため、ユーザーはAzure上で容易にDockerを起動できるようになる。また、Azure上のDockerホスト単位に個別にログインする必要もなくなり、自らのデスクトップPCやノートPC上のDockerクライアントを用いて各ホストに対する設定コマンドを実行できるようにもなる。
Microsoftはソースコードを公開し、同社がフォークしたAzure CLIツールをメインプロジェクトにマージすると約束した。また今後、Dockerについてのさらなるチュートリアルや情報を提供するとも約束した。
Microsoftの「ASP.NET」フレームワークの次期バージョン(開発コード名:「Project K」)は、ユーザーがアプリケーション単位に.Net Frameworkの適切なバージョンを選択してデプロイできるようになるという観点から、「Docker for .Net」になるという推測もある。しかし、この推測は正しいとは言えない。筆者が聞き及んでいる範囲では、ASP.NETのvNextチームは、ASP.NETの次期バージョンをDockerコンテナにより搭載しやすいものにするために注力している。
より長期的な観点から見た場合、MicrosoftはライブラリOSモデルの使用も含め、アプリケーション配布のための新たな方法を探求し続けることになる。また、Microsoft Researchの「Drawbridge」プロジェクトは、仮想マシンを必要としない先進的な仮想化の道を模索している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。