ヴイエムウェア、日本でもパブリッククラウド--vSphereのハイブリッドが現実に

鈴木恭子

2014-07-16 07:30

 ヴイエムウェアは7月15日、パブリッククラウドサービス「VMware vCloud Hybrid Service」の日本国内での提供を開始した。ソフトバンクテレコムとソフトバンク コマース&サービスの2社とヴイエムウェアが設立する合弁企業を通じて提供する。

 同日からベータ版を提供し、正式版は2014年第4四半期(10~12月)中にリリース予定。同サービスがアジア地域で提供されるのは初めて。2013年9月から提供している米国や英国に次いで3番目となる。

 IaaSであるvCloud Hybrid Serviceは、ハイパーバイザ「VMware vSphere」を基盤としている。vSphereのユーザー企業は今までと同じ管理手段でクラウド環境を可視化、運用し、オンプレミスとオフプレミスの両環境に対応したクラウドを運用できることになる。オンプレミスのIT環境にあるインフラをシームレスにパブリッククラウド環境に拡張できる。既存のIT資産と互換性があるので、ユーザー企業はクラウド向けアプリケーションをハイブリッドクラウド上で開発できる。

 日本ではコンピューティングやストレージ、ネットワーキング、データ保護といったIaaSのほか、災害復旧(DR)対策に対応したサービスも提供する。PaaS「Pivotal」やDaaS(Desktop as a Service)も順次提供していく予定。データは日本国内で保存する。

 合弁企業では、ヴイエムウェアがvCloud Hybrid Serviceの管理、運用、サポート、パートナーエコシステムを担当する。ソフトバンクグループ2社は、データセンター施設や物理ネットワークの提供、専門の営業チームを発足させる。合弁企業の代表はヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏が務める。

 米VMware最高経営責任者(CEO)であるPat Gelsinger氏は、「われわれはハイブリッドクラウド、SDDC(Software-Defined DataCenter)エンドユーザーコンピューティングを戦略的優先事項に掲げている。クラウド市場はアジア地域で急速に拡大しており、2017年にその市場規模は、現在の2倍に成長すると言われている。中でも日本でのクラウドの優先度は、他地域と比較して高い」と語り、日本国内のvCloud Hybrid Serviceの成功に期待を寄せた。

 ソフトバンクテレコム代表取締役副社長兼最高執行責任者(COO)であり、ソフトバンク コマース&サービス代表取締役会長を務める宮内謙氏は、すでに同社がパートナー制度「vCloud Datacenter Services」を7000社以上のリセラーを通じて提供していることを強調。vCloud Datacenter Servicesは、事前に定義された仕様にあわせて構築された基盤でパブリッククラウドをサービスとして提供する。

 ソフトバンクテレコムもVMwareのユーザー企業であることに触れて、宮内氏は、今回のvCloud Hybrid Serviceに意気込みを見せた。

Pat Gelsinger氏、宮内謙氏、三木泰雄氏
(左から)
VMware CEO Pat Gelsinger氏
ソフトバンクテレコム 代表取締役副社長兼COO/ソフトバンク コマース&サービス 代表取締役会長 宮内謙氏
ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木泰雄氏

 「仮想化技術の導入で、われわれはサーバを70%削減した。(ソフトバンクグループとして)数多くの買収を経験している立場から、サーバにかかる管理、作業工程の削減は最重要事項だが、仮想化技術の導入で作業工数の48%削減に成功した。われわれはVMwareのディストリビューター、パートナーとして実績がある。ソフトバンクグループの営業力でvCloud Hybrid Serviceを一気に普及させたい」(宮内氏)

 vSphereなどのVMware製ソフトウェアを利用してクラウドサービスを運用する「vCloud Service Provider」のパートナーは現在、国内で200社。vCloud Hybrid Serviceは、vCloud Service Providerを通じても提供されるという。

 三木氏は、「ハイブリッドクラウドの提供で、顧客はサービスプロバイダーから購入するサービスの選択肢の幅が広がる。パートナーにとっても独自サービスと補完し合うことが可能となり、提供するソリューション数が増えるというメリットがある」と語り、同サービスの優位性を強調した。

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