この問題がまた再発するだろうと筆者が確信しているのは、BGPテーブルの巨大化が続き、限界が見えてきているからだ。10月までに、経路数は51万2000件を完全に超えると見積もられている(編集部注:一方で、Cisco SystemsはIPv4の経路が8月13日に51万2000を超えたとしている)。
ちなみにこれは、一部の人々が憶測しているような、IPv4アドレスの枯渇と関係する問題ではない(われわれはIPv4アドレスを使い果たしつつある。北米の大部分では、自由に割り当て可能なIPv4アドレスの最後のブロックしか残っていない。2015年2月中旬までに、IPv4の在庫は空になるだろう)。
そうではなく、この技術的問題の背後にあるのは、無知という問題だ。GoogleのシニアネットワークセキュリティエンジニアであるWarren Kumari氏は、北米ネットワークオペレーターズグループ(NANOG)のメーリングリストに、次のように投稿している。「悲しいことに、全ての人がこの問題を知っていたわけではない。(Ciscoの)「65xx」上でBGPを運用し、テーブル全体を使用しているが、NANOGやコミュニティーに参加していない人はたくさんいる。多くの場合、彼らはシングルホーム環境を利用する企業にいる人々だが、それでもBGPを運用している。その理由は、どこかのコンサルタントが設定したとか、誰か心得のある従業員が何年も前に設定して、その後退職したなど、さまざまだ」
他のネットワークエンジニアらは、一部のサービスプロバイダーが、必要とされる修正を全てのルータではなく、一部のルータに行ったことを報告している。これは結果的に、復旧させようとして、修正したルータが未修正のルータに経路を送り始めると、未修正のルータが経路を制御できない状態に戻ってしまうという、まるで「終わりのない繰り返し」のサイクルになってしまう。
要するに、この問題が広がった一因に無知があったのは確かだ。
これで事情は分かっただろう。多少の知識不足、メモリの容量が足りないことに単に気づかなかった人々、そして資金不足という状況が重なって、インターネットに障害を引き起こしたのである。もちろん一部のISPはこの経験から教訓を得ることになるだろうが、最終的に51万2000件の壁を完全に越える時に、問題が再発することになるのは、絶対に間違いないと筆者は考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。