毎年、今くらいの時期になると、ほとんどの「Ubuntu」評論家は、最初のベータ版のリリースを受けて、デスクトップ向け「Ubuntu x.10」に関する最終的な記事を既に公開している。10月の完成版リリースまでかなりの時間があるにもかかわらず、だ。
今回は、デスクトップ向け「Ubuntu 14.10」(開発コード名:「Utopic Unicorn」)のリリースが迫っているにもかかわらず、メディア界はその話題に関して驚くほど静かだ。そして、Canonicalもあまり多くのニュースを提供していない。Mark Shuttleworth氏の最近のブログ投稿は、Canonicalのプロダクトがクラウドフレンドリーであることを紹介する内容ばかりで、これまでのところ、新しいデスクトップ向けUbuntu 14.10には全く言及していない。
Jono Bacon氏のブログは有用な情報源として定評があったが、それももはや当てにならなくなった。Bacon氏は5月末にCanonicalとUbuntuコミュニティーマネージャーの地位を離れて、XPRIZEのコミュニティー担当シニアディレクターに就任したからだ。Bacon氏の後任が発表されるまで、4人で構成されるUbuntuコミュニティーチームが同氏の穴を埋めることになる。
業界のほかの企業と同様、Canonicalも開発リソースの大部分をスマートフォンとタブレットに充てており、Ubuntuのデスクトップ版は少しばかり後回しにされているようだ。

「Ubuntu 14.10 Beta 1」。過去のリリースに酷似している。
提供:Terry Relph-Knight/ZDNet

参考までに、これは「Ubuntu 13.10」だ。提供が終了した「Ubuntu One」サービスのアイコンは、14.10のランチャーから削除されている。デフォルトのデスクトップの背景も若干異なる。
提供:Terry Relph-Knight/ZDNet
アルファリリースをインストールして、Ubuntu 14.10の進歩を追跡してきた人であれば、ほとんど何も変わっていないことに気づくだろう。現在のところ、Ubuntu 14.10 Beta 1の外観と挙動は「Ubuntu 14.04長期サポート版(LTS)」(開発コード名:「Trusty Tahr」)とほぼ完全に同じだ。もっと言うなら、「Ubuntu 13.10」や「Ubuntu 13.04」、さらに「Ubuntu 12.04 LTS」ともほとんど同じである。もちろん、(ほぼ毎日リリースされる)通常の膨大なアップデートが証明しているように、目に見えない部分では多くの変更が施されている。また、いつものように、14.10は新バージョンのLinuxカーネル(バージョン3.16)を中心に構築されている。新しいカーネルへのアップデートは常に歓迎すべきことだ。なぜなら、それによって、多くの最適化や、新しいハードウェアのサポートがもたらされるからだ。Ubuntuディストリビューションに含まれる主要アプリケーションの新バージョンについても、同じことが言える。
デフォルトでインストールされるアプリケーション
Ubuntu 14.10には、「LibreOffice」生産性スイートのバージョン4.3.0.4、「Firefox」ブラウザと「Thunderbird」電子メールクライアント(いずれもバージョン31.0)が標準で搭載されている。デフォルトでインストールされるアプリケーションには、ほかに「Brasero」ディスク作成ツールのバージョン3.10.0や「Rhythmbox」音楽管理および再生ソフトウェア(バージョン3.0.3)がある。「Inkscape」ベクターグラフィックスエディタ(バージョン0.48.5)と「GIMP」ビットマップグラフィックスエディタ(バージョン2.8)は、「Ubuntu Software Centre」からインストールできる。