筆者は先ごろ、Microsoft、Apple、Googleの10数年分のデジタル版年次報告書を引っ張り出して調べてみた。
売上高の推移を確認して、各社の事業がこの10年間でどう変化してきたかを把握することが目的だ。本記事は、筆者が2月に執筆したハイテク業界を支配するアップル、グーグル、マイクロソフト--収益源で見る各社の違いの続編と考えてほしい。
まずは2002年の決算から見ていこう。2002年は、Microsoftが歴史的な同意判決に署名し、米国政府とMicrosoftの独占禁止法訴訟が和解に至った翌年に当たる。また、「iPod」発売から丸1年がたった年でもあった。iPodは、PC企業だったAppleが、モバイルコンピューティングと通信に革命を起こす企業へと変化する第一歩だった。筆者が見つけることのできたGoogleの最も古い年次報告書は、2003年のものだった。同社が大規模な新規株式公開(IPO)を実施した前年である。
Microsoft
Microsoftに関して筆者が特に興味を持っていたのは、「『Windows』への依存度」だ。Windowsの独占状態は、同意判決が署名されてからすぐに崩れ始めた(ただし、この訴訟が市場にどれだけ影響を及ぼしたかについては議論の余地がある)。
Microsoftはこの10年間で決算報告の仕組みを何度か変更したため、年度別の比較を完ぺきに行うのは難しい。しかし、デスクトップ版Windowsとその関連製品の売上高を示す以下のグラフは、完ぺきに近いものだ。
2002年、デスクトッププラットフォーム部門はMicrosoftの総売上高の33%を占めていた。その割合は縮小し続けており、2013会計年度には、該当する部門(Microsoftの「Surface」ハードウェアも含まれるようになった)が同社の着実に増え続ける総売上高に占める割合は、わずか25%になった。その間、サーバ製品、「Microsoft Office」などのデスクトップアプリケーション、クラウドサービスは着実に売り上げを伸ばした。
営業利益(売上高から諸経費を差し引いた金額)に目を向けると、さらに興味深い事実が明らかになる。
2002年から2004年の間、WindowsはMicrosoftの利益に最も貢献し、総営業利益の89%という高い割合を占めていた。しかし、2005年になると、その状況に変化が生じ始める。エンタープライズソフトウェアやクラウドサービスへの投資が実を結び始めたのだ。
(2012年に大きく落ち込んでいるが、これはaQuantive買収の評価損62億ドルによるものだ。aQuantive買収は、広告分野を強化するというMicrosoftの失敗に終わった試みの一部だった)
Microsoftは以前ほどWindowsに依存していないが、Windowsは今も利益に大きく貢献している。PC業界が今後数年で急激に衰退したとしたら、同社はやはり深刻な打撃を受けるだろう。