伊トリノ市が「Windows XP」から「Ubuntu」に移行--600万ユーロ削減を目指す

Federico Guerrini (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2014-09-12 11:19

 600万ユーロ--これは「Windows XP」から「Ubuntu Linux」に切り替えるトリノ市が、5年間で目指す削減金額だ。

 このマイグレーションは、市の8300台のPCにオープンソースOSの「Ubuntu」をインストールするもので、すぐにでもWindowsとOfficeのライセンスコストとしてマシン1台あたり約300ユーロの削減が実現する(8300台分で250万ユーロをカットできる)。その後プロプライエタリソフトウェアライセンスが削減され、従業員が新しいマシンの操作に慣れるにつれて、削減額は増えるはずだ。

 移行の理由はコストだけではない。トリノ市が利用しているPCは古く、「Windows 8」をインストールすることは過酷だ。だがLinuxはWindowsより柔軟性があり、古いマシンでも容易に設定できる。さらには、Windows XPのサポートは2014年4月に終了しており、Microsoft技術を継続して利用することはトリノ市にとってあまり意味をなさないという事情もあった。Ubuntuへの移行計画は8月前半に承認され、今後1年半かけて作業を進める。

 コスト削減はたしかに大きな要因だが、トリノ市はオープンソースに好意的な環境も持つ。トリノ大学のNexa Center for Internet and Societyは技術、法、経済の専門家が集まりオープンライセンスなどについてのイニシアティブを進めている。その他にも、トリノ・ポリテクニック大学、Linux開発者のコミュニティOfficina Informatica Liberaなどがあり、フリーソフトウェアに関する話題は尽きることがない場所なのだ。トリノ市とオープンソースとの関連を象徴するものとして、9月14日には「Cyberia-オープンソースソフトウェアの首都トリノ」が開催されることになっている。同イベントでは、オープンソースの教祖的存在であるRichard Stallman氏がスピーカーに名を連ねている。

 公共機関のMicrosoftからLinuxへの移行として初期の大規模な事例となったのはドイツ・ミュンヘン市だが、同市はWindowsへ戻ることを検討しているという憶測がつい先日伝えられた。だが、ミュンヘン市の計画の真実は、当初の報道ほど単純ではないようだ。

 イタリアでは、2007年に一部をLinuxに移行したナポリ市がMicrosoftに戻ることを検討していると伝えられている。

 だが、同国ではウンブリア州、プッリャ州、ボルツァーノ市などの公共機関はオープンソースの世界に着実に舵を取っている。


提供:Shutterstock

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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