日立製作所は9月16日、流体解析や気象予測などの大規模シミュレーションに高い性能を発揮するというスーパーコンピュータ「SR24000」シリーズの製品化を発表した。9月17日から販売する。価格は個別見積で、12月1日から出荷する。RISCプロセッサ「POWER8」の搭載などで従来モデルに比べ約1.6倍の実効性能を実現しているという。
SR24000シリーズは、高集積で大規模なシステム向けに2UのシャーシにPOWER8(3.42GHz)を最大20コア搭載できる「XP1」と、高い単体性能が求められるシステム向けに4UのシャーシにPOWER8(3.52GHz)を最大24コア搭載できる「XP2」の2モデルが用意されている。
SR24000シリーズ(日立製作所提供)
POWER8に加えて、ノードあたりのメモリ転送速度を従来モデル比約2.8倍となる1秒あたり384Gバイトに向上したことなどから、従来モデル比約1.6倍に実効性能を強化したと説明。InfiniBandでのノード間ネットワークを高速化し、従来モデル比約3.3倍となる1秒あたり54.2Gバイトとなっている。大量データを利用した大規模シミュレーションなどの科学技術計算の迅速な処理を可能になるとしている。ノードあたりの理論演算性能は、XP1が547.2GFLOPS、XP2が675.84GFLOPSとなっている。
システムの規模や用途に応じてモデルを選択できるため、消費電力や設置面積などシステムの導入、運用にかかるコストを抑えつつ、高性能なシステムを構築できるという。同社が従来から提供している、自動的に演算を並列処理する「自動並列化コンパイラ」や「クラスタ管理技術」、分散共有ファイルシステム「Hitachi Striping File System」といった独自のソフトウェア技術や運用管理ノウハウを組み合わせることで、SR24000シリーズの性能をシステムとして最大限に引き出すことができると説明している。
早稲田大学理工学術院に先行納入され、博士課程教育リーディングプログラム「実体情報学」での計算機システムとして医療用ロボットなどに使われる各種アプリケーションの高速化などの研究に活用されている。