eBayは米国時間9月30日、PayPalを2015年に分社化して独立した上場企業とし、双方の会社に新しい経営陣を置くと発表した。この決定は、クラウドに明らかな変化を生じさせるだろう。この分離によって、「OpenStack」のプライベートクラウドアーキテクチャの分離がいかに容易か、あるいは困難かがはっきりすることになる。
eBayとPayPalの分離には、今後解決すべき細かな点が複数ある。PayPalとeBayは、「独立当事者間の契約」によってパートナー関係を続ける予定だ。PayPalはモバイル決済サービスに注力することができ、「Apple Pay」と競争関係になる可能性が高い。PayPalがGoogleやAmazonの買収対象となることもあり得る。
上層部の見解としては、eBayの役員会は次のように結論している。
変化を続ける競争環境は、eBayとPayPalに大きなチャンスをもたらしている。分離によって、戦略の焦点がより鮮明になり、両社それぞれが独立した企業としてこうした成長のチャンスを活かしやすくなるだろう。コマースおよび決済分野における業界の変化とイノベーションの速度を考えれば、競争力を保ち、世界的なリーダーシップを発揮するために、最大限の柔軟性を備えることが求められる。
具体的な点については、American ExpressのEnterprise Growth部門の元プレジデントであるDan Schulman氏が、分社後のPayPalの最高経営責任者(CEO)になる予定だ。
CowenのアナリストであるJohn Blackledge氏は、Schulman氏は適任だとしている。
新しい体制では、PayPalが、新しいApple Payサービスが潜在的にもたらすような差し迫った課題に、より素早く対応できるようになるはずだ。最後に、われわれは、その事業を率いるためにはSchulman氏が有力な選択肢だと思われると述べておきたい。Schulman氏は、American Expressで決済サービス事業の経験があるだけでなく、AT&TやVirgin Mobileの元役員であり、携帯電話事業についても深い理解がある。われわれは、Schulman氏が持つ、大企業の経営についての専門知識と、決済サービスや通信業界での経験は、上場企業としてのPayPalに非常に合致すると考える。
しかし経営体制の変更によって、両社にはテクノロジ面の新しいリーダーシップが必要になる。PayPalはまた、同社のデベロッパーリレーションにも投資する必要があるだろう。なにしろ、Apple Payは大勢の「iOS」プログラマーを囲い込んでいるからだ。
最初にすべきことのリストの中で最大の項目となるのは、クラウドの分離だろう。
eBayとPayPalにとって幸運なのは、両社がOpenStackアーキテクチャに移行していることだ。eBayのアーキテクチャは、OpenStackで動くプライベートクラウドに発展しつつある。目標は、ロックインを回避し、できる限りオープンソースを使用し、ソフトウェア定義型を採用して、可能な場合にはパブリッククラウドを活用することだ。
PayPalは2011年12月に、同社のOpenStackプライベートクラウドを初めて導入し、それ以来、拡張を続けてきた。PayPalはまた、デプロイメントとアプリケーション開発を分離することも目指してきた。PayPalのスタックは以下のようになっている。
核となる計算インフラストラクチャについては、eBayとPayPalはどちらも、同じクラウド上で運用しているようだ。PayPalは離脱する必要があるだろう。
そして、eBayのアーキテクチャは以下のようになっている。
理論上は、OpenStackインフラストラクチャとクラウドのアプローチを考えれば、このインフラストラクチャは分離しやすいはずだ。プライベートクラウドでこの理論通りにうまくいくかどうかは、今のところまだ分からない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。