IDC Japanは10月1日、ユーザー企業の情報システムを情報サービス事業者のデータセンターで監視、運用する国内データセンター(DC)サービス市場の最新予測を発表した。2014年の同市場は前年比8.2%増の9682億円となる見込みで、2013~2018年の年平均成長率(CAGR)は6.6%で成長すると予測している。
成長の要因として、自社サーバルームから事業者DCへシステム移設する事例や既存DCから耐震性能の高いDCへの移行事例が増えていることを挙げている。オンラインゲームや映像配信、SNS、ネット通販などネットビジネスの市場成長にあわせて、サーバ能力が増強されていることもDCサービス市場の拡大に寄与しているという。
DCサービスには、サーバ設置スペースを貸し出す“コロケーション”と、DC事業者が所有するサーバを貸し出す“ホスティング”の2種類があり、ホスティングの方が成長率が高い。
ホスティングには、近年急速に利用が拡大しているクラウドサービスの一部が含まれ、市場拡大を加速させる要因となっている。これまでクラウドサービスはウェブアプリケーションなどのサーバやシステム開発環境として使われることが多かったが、最近では企業の業務システムのサーバとして利用される事例が次第に増えている。
2014年の国内市場の内訳をみると、SI事業者とITベンダーのシェアが64.7%、通信事業者のシェアが20.8%、DC専業事業者のシェアが14.5%となっている。このうち2014年に売上拡大が最も顕著なのは、IaaSの成長が特に著しいDC専業事業者で、2014年の前年比成長率は13.7%になるとIDCでは予測している。
2012~2013年に国内で大規模なDCの新設や増設が相次いだため、DCサービス市場では競争が激化しており、急激な値崩れを起こすには至っていないものの、サービス価格や設備仕様、サービス品質に関するユーザー企業の要求は厳しくなる傾向にあるという。同時に建設コストの上昇や電気料金の上昇からDCの設備投資や運用コストの金額が膨らんでいるとしている。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「競争激化と事業コスト上昇でDC事業者はこれまで以上にサービス差別化と価格競争力強化が求められる」と分析している。
(IDC提供)