Microsoftソフトウェアに代わってオープンソースの代替製品を採用するというミュンヘン市議会の決定は話題を呼んだが、ミュンヘン市はドイツでそうした動きを見せている多くの地方自治体の1つにすぎない。
ドイツでは、中央官庁でも地方官庁でもLinuxとオープンソースソフトウェアを使用しているところがある。ドイツ連邦雇用庁は1万3000台の公共ワークステーションを「Windows NT」から「OpenSuse」に移行した。また、イーザーンハーゲン、ライプチヒ、シュウェービッシュハル、トロイヒトリンゲンといったドイツの多くの都市が、デスクトップでオープンソースソフトウェアを使っているか、その移行作業を行っている最中である。
最近この移行を実施した自治体がグンマースバッハだ。ノルトライン・ヴェストファーレン州にある人口約5万人の町で、2014年夏、「Windows XP」からLinux PCへの移行を完了した。
欧州委員会(EC)のサービスであるJoinupによると、グンマースバッハは移行によって5桁の金額(数万ユーロ)を節約し、ソフトウェアライセンスとハードウェア購入の費用削減を見込んでいるという。さらに、同自治体の議会は、Linuxベースの資産はWindows XPほどメンテナンスに手がかからないため、IT担当部署の常勤職員を1人削減して3人とし、規模を縮小できたとしている。
グンマースバッハの職員は300台のシンクライアントPCを使って、6台の「SuSE Linux Terminal Server」クラスタにホストされたデスクトップとアプリケーションにアクセスしている。デスクトップは「Mate」環境を基盤としており、職員は「LibreOffice」オフィススイートと、「Open-Xchange」の電子メール、メッセージング、カレンダー、オンラインコラボレーションツールを利用している。
この町は、ミュンヘン市が10年近くにわたるオープンソースソフトウェアへの移行であげた成果からも恩恵を得ており、一部の部署は、ミュンヘン市がフォームや文書のテンプレート管理のために開発した「Wollmux」ソフトウェアを使用している。
Windowsでしか動作しないアプリケーションは、仮想デスクトップ内で実行される。グンマースバッハは、行政サービス担当部署が使用するソフトウェアとCADソフトウェアを実行するために25台のPCも保持している。
それらのデスクトップPCは、ジークブルクにある同地域の市営データセンターから一元管理される。
グンマースバッハは、Microsoftが2014年4月にWindows XPの公式サポートを終了することを見越して、2007年にLinuxへの移行に着手した。
ドイツではグンマースバッハ以外にも多くの自治体がオープンソースソフトウェアに移行したが、同国では、Microsoft製品の使用中止という過去の決定が覆された地域もある。
ドイツ外務省は2014年、オープンソースソフトウェアのみを使用する方針を撤回して、Windowsと「Microsoft Office」に回帰することを発表した。
ドイツのフライブルク市も「OpenOffice」への移行計画を中止しており、その理由として、相互運用性の問題を解決するために1台当たり最大250ユーロのコストが発生することを挙げている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。