ノークリサーチは10月14日、2014年の国内中堅・中小市場における「オンラインストレージサービス」の利用実態とユーザー評価に関する調査の分析結果を発表した。詳細な内容は、同社のレポート「2014年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「文書管理・ファイル管理・オンラインストレージサービス」カテゴリに掲載されている。
オンラインストレージサービスの占める割合は低年商帯ほど高い
「文書管理」「ファイル管理」「オンラインストレージサービス」といったファイルの保存/共有/管理に関連する製品/サービスを導入済みの年商50億円未満のユーザー企業に対して、どのような形態の製品/サービスを導入しているかをたずねたところ、上のグラフが示すように、年商規模が小さくなるにつれてオンラインストレージサービスの割合が高くなっている。
クラウド上にファイルを格納し、インターネット経由で管理/閲覧/編集などを行うオンラインストレージサービスは、年商5億円未満の小規模企業層や年商5億円以上~50億円未満の中小企業層に対して、複数拠点間や複数の端末(スマートフォンやタブレットなど)によるファイル共有の手軽な手段を提供するものとして昨今注目を集めており、ファイル共有の手段を提供する新たなアプローチとなる可能性がある。
2012年以降から多種多様なオンラインストレージサービス
オンラインストレージサービスを導入済みの年商500億円未満のユーザー企業に、具体的なサービス名をたずねた結果を見ると、最も多く挙げられているものでもシェアは1割未満となっている。数多くのサービスが少しずつシェアを分け合う状態であることが分かる。ただし、この調査では企業として認知されている導入サービスが対象であり、個人や部門のレベルで会社の承認を経ずに利用しているケースは除外されている。
一方、「社内設置型」と「オンラインストレージサービス」の導入年の分布を比較すると、2012年以降に導入された割合についてはオンラインストレージサービスの方が高く、特に2013年以降になってから導入が進んだ状況が読み取れる(2014年については調査実施時点で年度の途中であるため参考値)。
「社内設置型」もクラウドとの連携で新たなシェア獲得機会
本調査では、原則として社内に設置する文書管理やファイル管理を目的とした専用アプリケーションを、オンラインストレージサービスとの対比で「社内設置型」として分類している。
年商10億円以上~20億円未満の企業層に対して、文書管理、ファイル管理、オンラインストレージサービスに該当する製品やサービスが持つべき機能や特徴をたずねた結果は上のグラフの通り。同カテゴリ特有の項目として多く挙げられているのは「ファイル操作の権限を細かく設定できる」「スマートフォンやタブレットからも利用できる」「データの一部をクラウドサービスに保管する」といったところ。
権限については、社内設置型で充実しているものが多く、オンラインストレージサービスでは機能面の今後の充実が待たれる項目。逆に、オンラインストレージサービスでは標準で対応しているものが多いのに対し、社内設置型ではオプション扱いとなることもあるのがスマートデバイスからの利用だ。3つ目の項目では、社内設置型において利用頻度の少ないファイルをクラウドに退避させる、あるいは社外で共有したいファイルをクラウドに配置するなどのニーズを反映したものと考えられる。
こうした回答から、社内設置型の製品にオンラインストレージサービスの要素を加える、逆に「オンライストレージサービス」と社内設置型の簡易ファイルサーバを組み合わせ社内のアクセス管理との連携性を高める、といった取り組みも検討する価値があると考えられる。