クラウド保存の企業データ、4割以上は非IT部門が管理:セーフネット調査

NO BUDGET

2014-11-06 17:56

 米SafeNetの調査によると、IT部門の過半数がクラウド上の企業データの保護について把握しておらず、機密情報が危険にさらされていることが判明したという。11月6日に発表された。

 調査では、多くの企業でクラウドコンピューティングを活用する傾向が高まっている一方で、IT部門の担当者がクラウドに保存されるデータの管理やセキュリティの統制に苦労していることが明らかになった。

 クラウド上の機密情報の保護について役割や責任を明確に定義している企業はわずか38%に過ぎず、クラウドに保存されている企業データの44%がIT部門の管理下や制御下にないことが混乱に追い打ちをかける結果となっている。IT担当者の71%が、従来のセキュリティ対策ではクラウド上の機密情報の保護が困難であると回答した。

 IT担当者の回答の4分の3近く(71%)は、クラウドコンピューティングは現在とても重要であると考え、4分の3以上(78%)は今後2年もその状況は変わらないだろうと回答。それぞれの企業のITとデータ処理要件のうちクラウド上で処理している案件は現時点で平均33%、2年後には41%になると推測している。

 だが、大多数(70%)の回答者は、クラウド環境でのプライバシー管理やデータ保護の統制管理はより複雑であると回答し、メール、消費者や顧客データ、支払い情報などのクラウド上の企業データが最も危険な状態にあると回答している。

 平均して、クラウドサービスの半分がIT部門以外の部門による導入で、クラウドに保存されている企業データのうち平均44%はIT部門以外が管理、制御している。その結果、調査に回答したIT担当者のうち「自社で現在利用しているクラウドのアプリケーション、プラットフォーム、インフラサービスすべてを確実に把握している」と答えたのは19%にとどまる結果となった。

 クラウドサービスのリソースが厳格に管理されていないことに加え、クラウド上のデータセキュリティについて誰が責任を負うべきかについても見解が分かれている。回答者のうち35%はユーザーとサービスプロバイダーの共同責任であると考え、33%はユーザーの責任、32%はサービスプロバイダーの責任だと考えている。

 回答者の71%は、従来のセキュリティ対策ではクラウド上で機密情報を保護することはより困難であると答え、48%はクラウド上のデータへのエンドユーザーのアクセスを制御、制限することはより難しいと回答。そのため、34%のIT専門家が、特定のクラウドコンピューティングリソースを利用する場合に暗号化などのセキュリティ対策を義務付けるポリシーを導入していると答えている。回答者の71%は、機密情報を暗号化またはトークン化できるようにすることが重要だと答え、また79%はそうした対策が今後2年間でますます重要となるだろうと答えている。

 クラウド上のデータ保護のために現在実施している対策については、43%がプライベートネットワーク接続を利用、39%が暗号化、トークナイゼーション、または、その他の暗号化ツールを使いクラウド上のデータを保護している。33%は自社のセキュリティ対策について把握していないと答え、29%はクラウドプロバイダーが提供するプレミアムセキュリティサービスを利用していると回答した。

 暗号鍵の管理については、データがクラウドに保存される際に暗号鍵を管理しているとの回答が54%、しかし45%は暗号鍵をデータが保存されるソフトウェア内に保存していると答え、暗号鍵をハードウェアデバイスなどのさらに安全な環境に保存していると回答したのは27%だった。

 クラウド上のデータへのアクセスに関しては、68%の回答者がクラウドのユーザーIDの管理がより難しくなると答え、62%は自社では第三者がクラウドへアクセスしていると回答している。また46%はクラウド環境での第三者によるデータへのアクセスに自社では多要素認証を使用していると回答し、ほぼ同数の48%が従業員によるクラウドへのアクセスに多要素認証を使用していると答えている。

 調査はPonemon Instituteに委託して、日本を含む世界各国のITとITセキュリティの専門家1800人以上が対象となっている。

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